2020年1月~8月の企業等の休廃業、解散数は、3万5,186件と、件数は前年の同じ時期比べ、20パーセント以上増加しています。
Gotoトラベル、Gotoイートなど旅行業界や飲食業界を中心に、国をあげて救済をおこなっていますが、新型コロナウイルスの再拡大も相まって、多くの個人事業主が、苦境に立たされています。
家賃、債務の返済、客足の激減。今回は、窮地に立たされた個人事業主がおこなえる対処法について考えていきたいと思います。
目次
【対処法①】国から支給される給付金について確認
新型コロナウイルスの拡大により、国や地方自治体では緊急措置として、補助金や助成金、また緊急貸付金の制度を整備しました。
種類別に分けてみましたので、ご確認ください。
持続化給付金
個人事業主で持続化給付金を申請すると、最大で100万円の給付金をもらえることが出来ます。持続化給付金の使い道は、事業全般と用途の制限が多くないので、未だ申請していないのであれば、利用を検討すべき給付金になります。
ただし、誰でも受け取れるわけではなく、適用条件があり、おもに以下のようになっています。
- ・新型コロナウイルスの影響で、前年同月比50パーセント以上売り上げが減少している
- ・2019年以前から事業によって、収入を得ており、今後も事業を続ける意志がある
また、申請期間や必要書類、申請方法についても下記に記載させていただきます。
- 【申請期間】令和2年5月1日~令和3年1月15日24時まで
- 【主な必要書類】確定申告書類・本人確認書類・対象月の売上台帳・通帳の写し
- 【申請から給付までの期間】不備が無ければ2週間で、口座に振り込まれる
持続化給付金は、電子申請が基本となっています。しかし、やり方がわからない方もいらっしゃると思います。その際は、各地に申請サポートの会場も設けられているので利用を検討してみてください。
※持続化給付金の詳細を確認されたい方は、中小企業庁の持続化給付金のページをご確認ください。
家賃支援給付金
個人事業主が家賃支援給付金を利用した場合、最大で300万円の家賃補助が支給されます。ただし、用途は持続化給付金と異なり、「家賃」や「地代」に限られます。
適用対象者は、以下の条件にすべて当てはまるひとです。
- ・資本金10億円以下であること
- ・2020年5月~12月の売り上げが前年同月比50パーセント以上落ち込んでいる、もしくは連続した3か月で30パーセント以上落ち込んでいること
- ・事業で利用している土地や建物に賃料の支払いがあること
持続化給付金と同様、基本的に電子申請になり、給付金の申請が通れば、一括で支給されます。申請期間や必要書類等、気になる方もいらっしゃるかと思いますので、以下をご確認ください。
- 【申請期間】令和2年7月14日~令和3年1月15日24時まで
- 【申請書類】確定申告書類・本人確認書類・対象月の売上台帳・通帳の写し・賃貸借契約書の写し・直前3か月間の賃料の支払い実績を証明する書類
給付の申請方法がわからない方は、持続化給付金と同様、サポート会場が設けられています。詳細につきましては、経済産業省の家賃支援給付金よりご確認ください。
上記のほかにも、中小企業や個人事業主を対象とした、実質無利子・無担保の融資制度や雇用調整助成金等が利用できるケースもあります。
個人事業主が利用できる制度については、経済産業省で公表しているパンフレットにわかりやすく載っていますので、確認してみてください。
【対処法②】任意整理をおこなう
新型コロナウイルスの影響によって、売り上げが激減し、債務の支払いが追い付かない個人事業主の方は多くいらっしゃるかと思います。そこで、債務整理を行いつつ、事業を継続できる可能性があるのが、「任意整理」です。
債務整理と言うと、「自己破産」のイメージが強いかもしれません。しかしながら、債務整理には、下記の通り大きくわけて3つの方法があります。
- 1.任意整理
- 2.個人再生
- 3.自己破産
本章で取り上げる任意整理は、2各貸金業者、金融機関と交渉することにより、元金や利息カットをする方法です。裁判所を通すことなく、債権者ごとに交渉をおこないますので、場合によって事業を継続することが出来るのです。
ただし、任意整理をおこなうにあたって、以下のような問題点もあります。
- ・貸金業者及び金融機関との金額交渉は、独力だと非常に困難であること
- ・任意整理をおこなったという事故情報が信用情報の記録に残るので借り入れが困難
- ・運営している事業に安定した収入が見込めなければならない
- ・債務の圧縮率が小さい
任意整理は基本的に、弁護士や司法書士の協力が必要になります。また、今後の返済の見通しが立たないとなかなか交渉しにくいです。
長年、自分の起こした事業に携わった方は、愛着や今後の収入面の心配もあって、なかなか廃業に踏み切ることは難しいでしょう。
しかしながら、債務が収入を超過している状態は決して良いとは言えません。今後の生活のためにも他の債務整理を選択した方が良いケースもあります。
自身の状態が分からないという方は、どの債務整理を選択した方がいいのかを含め専門家に相談しても良いかもしれません。
【最終手段】廃業届を出し、個人再生や自己破産の利用
個人事業主にとって、廃業することは断腸の思いかもしれません。しかしながら、事業の立て直しの目途が立たず、やみくもに債務を増やしてしまうと、生活面でも精神面でも追い詰められていきます。
追い詰められた結果、闇金に手を出してしまう方も少なくありません。そうなる前に、個人再生や自己破産を検討した方が良いと思います。
※個人再生については、「個人再生のメリット・デメリット」に詳しく書いています。
闇金は法外な利息もさることながら、取り立て方法も法に触れるような悪質なものが多いです。
個人再生や自己破産もネガティブなイメージがつきがちです。確かに、下記のようなデメリットがあります。
【個人再生のデメリット】
- ・官報に氏名と住所が載る
- ・信用情報機関に事故記録が残る
- ・手続きが煩雑
- ・収入能力がないと認められないことがある
【自己破産のデメリット】
- 官報に氏名と住所が載る
- 信用情報機関に事故記録が残る
- 理由によっては免責許可がおりないことがある
- ある一定の価値の財産しか手元に残せない
- 手続き中、就労できない職業がある
それぞれデメリットはあります。しかし一方で、個人再生や自己破産には、借金を大幅に減らしたり、帳消しにできる効果を持っています。
借金は、心の余裕をなくし、すり減らしていきます。返済に追われ、自殺を選択する方もいるほどです。
今まで積み上げたものが無くしてしまう勇気は、なかなか難しいです。しかし、債務整理の制度には、多くの債務を抱えた方でも、イチから再起をはかれる制度でもあります。
自分自身で手続きが難しい方は、一度専門家に相談することを検討しても良いかもしれません。債務整理に強い専門家から有用なアドバイスをもらえることもあります。
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まとめ
今回は、コロナ禍で売り上げが減ってしまった個人事業主の方に向けて、給付金や債務整理に関するお話をさせていただきました。
2020年に端を発した、新型コロナウイルスによる不況は、この先数年続くことが予想されています。先行き不安なことばかりですが、債務等、お金の問題は待ってくれません。
自身がおこした事業をどうするのか。現実的な問題を考えて、給付金や助成金の申請、また債務整理などを検討いただければと思います。