債権回収は、取引相手の代金未払いが発生した時や、借金の返済が滞った時に、未払い分の代金や借金を回収する手続きです。債権回収の方法にはさまざまなものがありますが、基本的には内容証明の送付や少額訴訟、民事調停などの「法律手続き」となり、専門家に依頼しなければ解決は難しいのが現状です。
ここでは、法律手続きである債権回収を弁護士に依頼するメリット・デメリットを紹介します。
目次
・弁護士に依頼するメリット
債権回収は電話での催促や普通郵便での請求書の送付など自分でできるものもありますが、早い段階で弁護士に依頼することで得られるメリットもあります。
○状況に合わせた適切な対応が可能になる
債権回収に応じない理由の多くは次の3つです。
①資金繰りがつかない場合
②取引した商品の質やサービス内容などに不満がある場合
③不合理な支払い拒否の場合
取引先が支払いをしない理由によって回収方法が変わるのはもちろんのこと、債権回収をする側の過失やどのような手続きを進めて契約を行なったかによっても回収方法は変わります。弁護士が債権回収を行なう際には、依頼者の状況を総合的に判断した上で、「どのような内容証明を送付するか」、「少額訴訟を行なうべきか」、「訴訟に移るべきか」など適切な対応を選択して手続きを進めていきます。
○訴訟、強制執行などの法的な対応がスムーズにできる
債権回収において、口頭で支払いを求めたり、内容証明郵便を送っても相手側が応じない場合には、訴訟や強制執行などの法的な対応が必要となります。訴訟や強制執行では、債権回収の証拠資料を収集したり、裁判所に申立てを行ない、相手側に強制的に履行を求めます。
弁護士に債権回収を依頼した場合には、必要に応じて法的な対応をスムーズに行なうことができます。
○社内の労力の削減
債権回収を弁護士に依頼した場合には、弁護士にほとんどの手続きを任せることができるので、日常の業務に影響なく問題を解決することができます。特に、債権回収の相手が多い場合には、弁護士に一括して依頼することでケースに応じて適切な対応をしてもらい、社内の労力を大幅に削減することができます。
・弁護士に依頼するデメリット
これまで弁護士へ依頼することでのメリットを紹介してきましたが、弁護士に依頼する際にはデメリットもあります。
ここでは、弁護士に依頼する際のデメリットを見ていきます。
○取引先との関係悪化
弁護士に債権回収を依頼をするということは、こちらが確実に債権回収を行いたいことを示すことにもつながるため、取引先との関係悪化は避けられない問題となります。ただし、弁護士への依頼を検討するような債権回収のケースでは、相手先と今後取引を行う可能性がないことも多いため、必ずしもデメリットとは言い切れません。
○費用がかかる
弁護士に依頼した場合には、弁護士への依頼料がかかります。一般的には着手金を支払った後、内容証明の送付や調停など段階に応じて費用がかかり、訴訟になると更に費用が高額になります。ただし、少額の債権回収の場合には、「少額訴訟」という少額の係争に適した訴訟制度を利用することもできるため、その場合には弁護士費用を抑えることができます。
・まとめ
債権の回収は時間との勝負になってきます。弁護士に依頼しようかどうかと悩んでいるうちに、相手会社が倒産してしまうことも少なくありません。そうなると回収できる債権も回収できなくなってしまい、損害が大きくなってしまいます。
弁護士へ依頼するかどうか決まっていなくても、アドバイスを受けに相談へいくことも一つの手段です。債権での損害が大きくなる前に弁護士への相談をご検討することをおすすめします。