男性へのハラスメントというと、女性に比べ、軽視されていると感じたことは無いでしょうか。おこなわれているハラスメント行為は同じなのに、なぜか痛みを理解されづらい…。
今回は、男性が巻き込まれる可能性のある、ハラスメントトラブルについて考えていきましょう。
目次
男もつらいよ!?~セクハラパワハラを受けたことのあるひとの割合~
日々、○○ハラスメントが多くなっていきますが、ハラスメントの実態はどうなっているのでしょう。日本労働組合総連合会(以下JTCU)が2019年5月に実施したデータによると、職場でパワハラ・セクハラを受けたと回答した方の割合は、以下のようになりました。
※上記の割合は男女別ではなく男女合算し、割合にしたものです。
全体で37.5パーセントなので、大体4割近い方がハラスメントの被害にあっているという結果になりました。男女の内訳はどのようになるのでしょう。こちらもグラフにしましたので、ご確認ください。
グラフで確認すると、イメージよりは、男女に差が無いと感じた方も多いのではないでしょうか。女性の被害が大きく取りざたされがちですが、男性も少なからず、ハラスメントの被害にあっていることが解ると思います。
とはいえ、男性と女性では、受けるハラスメントの種類が異なります。もっとも被害の多かった、ハラスメント行為を男女別に3位まで表にしてみました。
以下をご確認ください。
性別 | 1位 | 2位 | 3位 |
男性 | 脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言などの精神的な攻撃 | 業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害などの過大な要求 | 業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないなどの過小な要求 |
女性 | 脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言などの精神的な攻撃 | セクシャルハラスメント | 私的なことに過度に立ち入る等の個の侵害 |
男女ともに、1位は、パワハラともいえる精神的な攻撃がランクインしました。2位以降は男性が過剰・過小な仕事の要求というパワハラに対し、女性はどちらかと言えば性差別的なハラスメントがランクインしました。
このことから女性のハラスメントが異性から受けるのに対し、男性のハラスメントは同性同士でおこなわれている割合の高い推測できそうです。
パワハラは6種類!?~実はこれもあれもパワハラなんです!~
前章で紹介したアンケート結果から、男性がもっとも受けやすいハラスメント行為はパワハラであることが解りました。しかし、ひとくちにパワハラは6種類に分けられ、以下のようになります。
- 1.身体攻撃
- 2.精神攻撃
- 3.人間関係切り離し
- 4.過大な要求
- 5.過小な要求
- 6.個の侵害
- 具体的にどのような行為なのか、それぞれ具体例を挙げていきたいと思います。
1.身体攻撃
身体的攻撃とは、文字通り相手にたいして殴ったり、蹴ったりと暴力をふるうことを指します。また、胸ぐらをつかむ、髪を引っ張るといった行為も当然、身体攻撃として加えてよいでしょう。加えて、物を投げたり、壁や机を殴ったりといった、他人を威圧する行為も身体攻撃に含まれます。
2.精神攻撃
人の人格を否定する暴言や名誉を傷つけるような悪口、人を辱める言動のことを指します。また、性自認や性嗜好に関する発言も、パワハラとしてとらえられます。更に付け加えると、通常はひとを傷つけることばではなくても、職場内の隠語として特定の個人を揶揄した言葉もまた、精神攻撃に含まれます。
3.人間関係切り離し
職場内の人間関係から、切り離すような行為もパワハラです。具体的に言えば、上司と折り合いが悪いために、集団無視を指示したり、仲間外れにしたりすることです。いわゆる職場いじめ状態のことを指すといっても良いかもしれません。
4.過大な要求
誰がやっても、絶対にひとりでは終わらない量の仕事を、与えることを指します。単純に業務量だけではなく、教えてもいない分野の仕事を任せたり、休日出勤や残業を強いたりすることも含みます。
5.過小な要求
合理的に考えて、自分の能力に見合わない少量の仕事しか与えられないことを指します。仕事を少なくしたり、閑職に追いやることで、退職させるという意図が含まれていることもあります。
6.個の侵害
個の侵害とは、プライバシーに過度に干渉することを指します。具体的にいうと、私的な秘密を勝手におおやけにしたり、交友関係や有給取得に関して過剰なさぐりをいれてきたりすることを指します。
以上がパワハラの6つの類型でした。
上記のような、不当なあつかいを受けた場合には、以下を試してみると良いかもしれません。
不当なハラスメントにあったら…
第1段階 | 人事、もしくは会社のハラスメント窓口に相談して見る |
第2段階 | 組合に加入している場合は組合に相談、もしくは労働局に相談し、解決をはかる |
第3段階 | 会社を相手取り、労働調停を申し立てる |
第4段階(※) | 交渉で決裂、また調停や審判に不服に感じたときには訴訟を申し立てる |
※いきなり、訴訟を申し立てる方もいらっしゃいますが、多くの場合は調停の不成立や、労働審判を不満に思うなど、訴訟を起こす前にワンクッション入ることが多いです。
第1段階で、会社がすぐに対応してくれる場合、弁護士は必要ないかもしれませんが、第3、第4段階になってくると、証拠保全のため、裁判所をとおし会社に情報開示請求をするといった、「パワハラがあったと証明する」ことが大切になってきます。そのためには、労働に関するさまざまな法律の知識が必要になってきます。
したがって、パワハラで調停・訴訟を考えているかたは、早い段階で弁護士への依頼を検討した方が良いかもしれません。
男性もセクハラを受ける!?~「男らしく」はセクハラかもしれない件について~
前章までは、パワハラについて解説していきました。今回は、男性へのセクハラ問題です。世間一般のイメージとして、セクハラは女性が被害にあうものと考えがちです。しかし決してそうではなく、以下のようなシチュエーションの場合、いわゆる逆セクハラを受けている可能性があるのです。
- ・過剰な露出がある服装で出社してきて、目のやり場に困っているところ、わざわざ指摘してくる
- ・休み時間中に性的なものを含んだ内容のプライベートを根掘り葉掘り聞いてくる
- ・「男だからこうあるべき」と事あるごとに発言してくる
- ・過剰なスキンシップを取ってくる
例に出したシチュエーションは、男性に対するセクハラになる可能性があります。大前提として、上述したシチュエーションでも、マイナスの感情をおぼえなければセクハラではありませんが、不快に思ったのであればそれはセクハラです。
とある調査では、セクハラを受けたことのある男性は、1割から2割ほどいるという結果も出ています。しかし、男性へのセクハラは女性以上に告発しにくい雰囲気があり、なかなか顕在化しにくい側面を持っているでしょう。
今後は、男女かかわらず、セクハラ防止の啓蒙活動が必要になってくると思います。
まとめ
今回は男性が職場や仕事で直面する可能性の高い、ハラスメントについて考えていきました。ハラスメントは、人権を侵害する行為であり、決して許されることではありません。
また、過度なストレスが与えられた結果、うつ病になったり、自殺をしてしまう方もいます。
我慢するのではなく、解決するためには、どこに相談をすればいいのかを考えることが大切です。「不当なハラスメントにあったら(リンク貼る)」を参考にご検討いただけたら幸いです。