緊急事態宣言やら自粛願いで、リモート勤務が通常対応に。
家に居ると何となく手持ち無沙汰。
運動不足だし、これを機に健康に気を付けたい。
運動器具買って、健康食品もポチっちゃおうかな。
あれ、定価の半額以下じゃん。
どうせ、出かける予定も無いし、これもポチっちゃおう。
あれ、請求書おかしくない?なんで、こんなに引かれてるの?
クーリングオフ?返品不可?一体どうすれば…?
目次
ネットショッピングの利用率~変化していくショッピングの方法~
ネットショッピングは、今や日常に溶け込んでいる存在です。
しかし、意外にも、その歴史は浅く、日本で登場したのは、1990年代の後半からです。
現在では考えられないかもしれませんが、当時はインターネットの整備がまだされておらず、2000年代になるまで、一般家庭のインターネット普及率は20%程でした。
また、携帯・PHSについても過半数を超えるのは、2000年代になってからです。
しかし、インターネットの普及が一般家庭にも広まり、スマホが登場したことから、ネットショッピングの利用率は飛躍的に伸びることになりました。
総務省が統計を開始した2002年には、わずか5.3%であったのが、2018年には4割にせまる39.2%に達しています。
また、2020年7月に発表した、総務省の家計消費状況調査によると、2020年5月の2人以上の世帯のネットショッピング率が5割を超えました。
原因としては、やはり新型コロナウイルスの流行が挙げられるでしょう。
ネットショッピングが買い物の手段として確立していく中で、トラブルも発生してきています。
一体どんなものなのか、確認していきましょう。
コンビニエントな世の中になったもんだ~ネットで買い物のトラブル、送料問題について~
ネットショッピングが身近になった今、まずトラブルとして挙げられるのが、「送料問題」です。
ネットショッピングの王手として、「Amazon」や「楽天」などがあります。
こういった、ショッピングサイトは、サイト運営会社自体が提供している商品と、そのサイトに出店している企業や個人と取引する商品があります。
サイトの運営元が直接販売している商品の送料が無料であったり、送料がかかったとしても、常識の範囲内の送料であることがほとんどです。
出店している企業や個人にしても、たいていのところは、高額な送料をふっかけてくるところは少ないは思います。
しかし、最近1000円の商品に対して、5000円や10000円などの高額な送料を加算しているような悪質な業者がいるのも、また事実です。
このようなトラブルは、水面下では存在していましたが、大きな問題として頭角を現してきたのは、2020年2月頃からだと思います。
大きなきっかけになったのは新型コロナウイルスの流行です。
もう少し具体的にいうと、マスクの供給不足が関わってくるでしょう。
2020年の2月から5月頃にかけて、新型コロナウイルスの影響により需要が増加し、世界的にマスクや消毒液が不足しました。
日本も例外ではなく、供給が追い付かなかったため、マスクや消毒液の価格が高騰しました。
その際、悪質な業者が利益を得ようと、商品の価格を安く設定し、送料を高額にするといった、行為を多発してしまいました。
商品を購入する際、商品価格の確認はおこないますが、送料の確認はしない方もいらっしゃると思います。
何を隠そう筆者も、値段につられあやうく送料が10000円のマスクを購入しかけたことがあります。
マスクの価格の高騰、また転売が横行し、街中からマスクが消え、高額なマスクを購入せざる得ない状況が続いていました。
そんなときに、価格の安いマスクがあれば、ついつい手を出してしまうのが心情ですよね。
こうした事態を重くみた政府は3月15日に、マスクの価格を抑えるため、「国民生活安定緊急措置法」を改正。
マスクの高額な転売を防止するため、購入価格を超える金額で転売をおこなったひとに対し、罰則をもうけました。
購入金額には、もちろん送料も含まれます。
その結果、マスク自体の価格は、次第に安定し、高額な送料を設定する業者は減少していきました。
とはいえ、今回の措置はマスクや消毒液などの品に限っておこなわれた規制で、他の商品は規制対象でありません。
また、マスクや消毒液についても、2020年8月29日に転売規制が解除されましたので、現在(2020年9月現在)、価格や送料等に制限はなくなりました。
これから冬に向けて、新型コロナウイルスだけではなく、インフルエンザの流行も懸念されます。
再び、送料が高額になった場合、なにか対処法はないのでしょうか。
法外な送料は、法律違反になるの?
ネットショッピングの高額な送料のトラブルは、今後も増えていく問題だろうと思います。
しかしながら、高額な送料設定を販売業者がおこなった場合、法律違反になるのかと言う疑問があります。
前述のとおり、現在のところ、通信販売の送料に関するはっきりとした規制はありません。
とはいえ、大手ショッピングサイトでは、高額な送料のトラブルが解消されるよう、規約で制限をしているところもあります。
有名どころの対応を紹介したいと思います。
【Amazon】
Amazonの規約では、送料を含め、定価を大きく超えた商品を販売した販売者に対し、アカウント停止や出店停止などさまざまな措置をこうじると言うことの記載があります。
また、マーケットプレイスの出品者の商品を購入し、トラブルになった際上限付きですが保証もついています。
【楽天市場】
楽天市場では、「送料無料ライン」の導入が2019年に発表されました。そして、2020年、同一の店舗で一定以上の金額を購入した場合、送料が0円になるというシステムが任意で導入されました。
これにより、クール便や特殊な運送方法をのぞき、高額の送料のトラブルに巻き込まれる可能性が低くなったといえるかもしれません。
導入したこと自体には、出店者側から賛否両論ありますが、消費者の立場としては、安心できる部分もありますね。
ネットショッピングを利用する上での注意点
先ほど、ネットショッピングの高額送料を直接規制する法律は、現状ではないことをお伝えしました。ということは、私たち消費者が、ある程度自衛をしなければならないということになります。
注意点としては、以下の点が挙げられるでしょう。
①注文の確定をする前に総額を確認する
日常的に利用しているショッピングサイトでは、クレジットカードの情報が記録されており、ボタン一つで決済が可能です。
そのため、商品価格ばかりに目が行き、総額の確認を忘れてしまうことがあります。
自分を守るため、トラブルを回避するためにも確定ボタンを押す前に、総額を確認することを忘れないようにしましょう。
②定価より大きく値下げしている商品の場合には、送料を確認する
商品の大幅値下げをおこなっている優良な業者もいますが、ショッピングサイトの評価を上げるために、商品価格をかなりの安価に設定している悪徳業者もいます。
だまされないよう、送料がいくらなのかをきちんと確認することが大切です。
以上が、購入時の注意点でした。
いくら運営元のサイトが規制をおこなっても、おおもとの法律がなければいたちごっこの状態が続くと思います。
消費者のためにも、また優良な業者のために、今後の法整備を期待したいですね。
今なら○○円のところを、大特価の○○円で提供します~通信販売の罠はいがいと引っかかる~
ダイエット食品や、健康食品、「○○なら痩せる」「○○なら筋肉がつく」。
美容や健康は人間の永遠の追及テーマかもしれません。
更に2020年は、緊急事態宣言が発令され、在宅勤務の方が増加しました。
外出しない生活を続けると、ついつい気が緩み、「コロナ太り」「自粛太り」状態になるかたも少なくありません。
かくいう筆者も、案の定コロナ太りが戻りません。
運動すれば良いのですが、毎日のジョギングやウォーキングはある程度意識を持たなければ、中々続きません。
そんなときに魅力的なうたい文句を見つけたら。
広告とは、面白いもので「どうせ効果はない」と思いつつも、ついつい買ってしまうということがあります。
2000円以下の商品であれば、駄目元で購入し、「効果があったらめっけもん」と考える方もいるかもしれません。
しかし、健康食品やダイエット食品などは初回の購入だけが安くなっていることが多く、定期購入と知らず次月に高額な請求が…なんていうトラブルが増えています。
定期購入の通信販売のトラブルは今めちゃくちゃ増えている。
国民生活センターの調べによると、定期購入のトラブルの相談が増加しており、平成30年度の相談件数は、1位になりました。
平成29年以前では、架空請求の相談が主でしたが、ここにきて定期購入の相談が急増。
1年比でなんと約230%も件数が増加!そのうち、9割の商品が化粧品や食品関係です。
令和2年は、ネットショッピングの全体の利用数が多くなっているので、更に件数が増えそうな感じがしますね。
とはいえ、定期購入のトラブルの問題点は、初回購入だけではありません。
どんなものがあるのか確認していきましょう。
定期購入の具体的なトラブルとは…?
定期購入のトラブルとして、まずは先ほどもお伝えした初回購入です。
「定期購入商品である」ことが、小さく明記しており、気づかずに購入してしまう方が多いためです。
他の問題点としては、以下のようなことが考えられます。
- ・定期購入を解約しようとしたところ、電話がつながらない
- ・定期購入の解約時、初回のみで解約の場合、通常料金との差額を請求すると言われた
- ・効果がないので返品しようとしたら、返品できないと言われた
- ・返品保証があったため、購入し、効果がなかったので返品しようとしたところ、発送時の箱がないから返品できないと断られた
- ・定期購入を解約しようとしたら、解約申請期間を過ぎているため、解約できないと言われた
上記のようなトラブルも多く多発しております。
定期購入の広告として、「効果が無かったら、全額返金保証」というフレーズが多く散見されます。
そのため、商品をクーリングオフ出来ると考えがちです。
しかし実際には、ネットショッピングに限らず、通信販売ではクーリングオフ制度がないのです。
では、返品を希望する場合、どのように対処すればいいのでしょうか。
返品のルールについては、商品ごとに異なることがあります。大きく以下のように分けることが出来ます。
返品についての記載の可否 | 返品理由 | 返品方法 |
記載なし | 自己都合 | 商品到着後8日以内であれば、購入者が送料負担のうえ、返品することが可能 |
○○日以内なら返品可 | 自己都合 | ○○日以内に返品をおこなう。〇〇日が8日より短い場合であっても、記載がある場合にそのルールが優先される。 |
返品不可 | 自己都合 | 返品不可と記載がある場合には、8日以内のルールは適用されず、「返品不可」が優先される。 |
※なお、上記はすべて返品の理由が、自己都合の場合のみです。
注文と違う商品や不良品が届いたときには、販売者に連絡し、交換や返金対応などが可能です。
このように、返金ひとつをとっても販売者によって対応はまちまちです。
また、定期購入の解約の場合、定期購入の商品であることや、〇か月定期購入のみ、初回が○○円という記載が注文確定時のページに記されているときには、ほとんどの場合、契約を解除することができません。
大切なことほど小さく記載されているケースが多いので、商品の規約などを読まずに購入することは避けましょう。
定期購入のトラブルに遭わないためには…?
定期購入の商品は、ひとによってとても魅力的に見えることがあります。ついつい、確認せずに購入したり、いきおいで買ってしまうことも少なくないでしょう。
しかし、通常価格が高額な場合、お得だと思って買ったものが、実は損だったなんてこともあると思います。
そうならないためにも、お買い得商品を購入する際は、下記を意識しましょう。
①定期購入であるかどうかを、注文確定ボタンを押す前に確認する
特定商取引法では、顧客の意に反する売買契約の申込みをさせようとする行為を規制しています。定期購入商品の場合、注文確定時の画面に、定期購入であることや、〇か月契約といった文言が確認できます。
そのため、注文確定のボタンを押す前に、内容の確認をしてください。
②規約を確認する
注文をする際、購入するにあたっての規約を確認することが出来ます。
小さな文字でこまごまと記載されているので、ついスルーしてしまいますが規約は重要事項の宝庫です。
しっかり確認するようにしましょう。
③販売業者の連絡先や電話番号、住所など問い合わせ先を把握しておく
規約で返品可能だと記載があっても、販売業者に連絡が取る方法がわからなければ、手続きがおこなえません。
そのため、インターネットで完結できるのか、電話するひつようがあるのか等、購入前にしっかり確認することが大切です。
まれに、悪徳業者であると、電話番号等の記載がないこともあります。
返品対応でなくとも、不良品や商品違いなどで、交換対応が発生することもあるため、どこに連絡をすればいいか調べておきましょう。
まとめ
今回は、ネットショッピングの送料問題や、定期購入のトラブルについて取り上げました。
日々、何気なくおこなっている、買い物という行為は、売買契約という契約です。
例えば、店で家や自動車を購入した後に、「規約をみていなかったから知らなかった」や「自己都合で返品できないことを知らなかった」とは思わないですよね。
むしろ不都合が起こらないように、売主に説明を求めたり、確認したり、契約に慎重になる方が多いでしょう。
しかし、ネットの買い物はボタン一つで注文ができ、とても簡単です。
その簡略さゆえ、重要事項を見落として、損してしまう結果になりかねません。
万が一トラブルに巻き込まれたときには「188」のダイヤルや、国民生活センターで相談することをおすすめします。
また、販売業者から解約を理由に多額の損害賠償を請求された際には、弁護士に相談して見るのも良いかもしれませんね。