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区別に格差、トラブルいっぱいの労働について~働き方改革はすすんでいるの?~ - 相談サポート通信|アスクプロ株式会社

労働

2020年も折り返しの7月。
56年振りに東京オリンピックが予定されていたのに、まさかの目に見えぬ敵によって延期!
4月以降、「働き方改革」が進むっていうけれど、なんか変わるの?
と言うか、
今回は、多くの方に関係のある、「労働問題」のリアルについて取り上げていきたいと思います。

正社員は選ばれし者?~目をそらしたくなる格差リアル~

高校や大学、専門学校を卒業する前に訪れる試練…その名も就職活動!

エントリーシートを書いて、スーツという名の防具を身にまとい、いざ面接へ。

「お祈りメール」にくじけず、面接官の威圧をくぐりぬけ、やっとこさ就職にこじつける。「就職活動」は、はじめて格差を感じる機会だったという方も多いのではないでしょうか。

とはいえ、「働く」というのは、何も正規雇用だけではなく、契約社員や派遣、パートやアルバイトといった様々な選択肢があります。一般的に、正規雇用の方が良いとされていますが、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。

正規雇用と非正規雇用の比率

まずは、日本の企業における正規雇用と非正規雇用の比率について確認していきたいと思います。総務省による、2019年度の労働調査の結果によると、正規雇用はおよそ3494万人に対し、非正規雇用は2165万人程でした。全体の労働人口が5,659万人位なので、およそ4割近くの方が非正規雇用であることが解ります。また、男女別で確認してみると、男性の非正規雇用率が全体の28.8パーセント程度だったのに対して、女性の方はおよそ55.9パーセントでした。

この結果から、女性の正規雇用が男性と比べてかなり低いことが解ると思います。女性の正規雇用の割合が低い理由として、「育児」や「介護」などが挙げられます。女性のなかには、育児や介護、家事などに多くの時間をあてたいため、「非正規雇用」を選択しているひともいるのです。

多くの正規雇用は1日あたり8時間労働が当たり前というところがほとんど。働き方改革のいっかんで、短時間制社員制度というものもありますが、実際に導入している企業は、全体の2割程であるというのが現状です。

正規雇用って?非正規雇用って?

非正規雇用と言ってもどのように雇用されたかによって、さまざまな違いがあります。したがって雇用形態別に分けると次のようになります。

・契約社員
・派遣社員
・パート・アルバイト

一体どのような違いがあるのでしょう。正規雇用も含めて確認していきたいと思います。

正規雇用

正規雇用者の最大のメリットは収入の安定です。また、明確な契約期間が定められていないことも特徴のひとつだと言えます。
契約期間が決まっていなければ、定年まで同じ企業に勤めることも出来ますし、合わないと思えば、途中で辞めることも可能です。更に健康保険や年金など社会保険に加入しやすいということもあります。

デメリットとしては、「正規雇用と非正規雇用の比率」のなかでもお伝えしましたが、働き方の自由度が低い点でしょうか。加えて、転勤や異動の可能性や、残業や休日出勤を求められることも挙げられます。

非正規雇用の種類と違い

非正規雇用について、種類別にどのような違いがあるのかを簡単にまとめてみました。

雇用形態

特徴

雇用方法

契約社員

期間が定められている雇用契約。雇用契約によっては、賞与が発生したり、正社員登用もあり得る。

直雇用

派遣社員

派遣会社に登録し、派遣先の会社で働く。就労の契約内容は派遣先と派遣元によって決められ、派遣元と契約を交わす。

間接雇用

パート

フルタイムの正社員よりも労働時間が少ない。有期契約だが、5年以上働くと無期雇用に転換することが可能。

直雇用

アルバイト

基本的にパートと同じ条件で働くことが出来る。法律的にパートとの違いはないが、学生など比較的若年層を募集する際に利用することが多い。

正規雇用とちがい、非正規雇用は基本的に有期雇用です。ただし、連続して同じ職場に5年以上在籍する場合には、働いているひとの申し込みによって、無期雇用へ転換することが可能です。契約社員、パート・アルバイトは直雇用なので、在籍している企業へ伝えればいいです。

派遣社員の場合には、派遣先ではなく、派遣元に意志を伝えるようにしましょう。無期雇用の転換のルールは労働契約法で定められていますので、条件さえ満たせば利用することができるのです。とはいえ、通算5年が経つ前に、契約が終了してしまうという可能性もあるので、正規雇用に比べて、弱い立場であることは確かです。

また、社会保険についても同じことが言えます。社会保険とは、雇用保険や年金、健康保険などの総称で、条件をクリアすれば基本的に誰でも加入することが出来ます。しかし、残念なことに社会保険の条件を満たさない労働契約を結んでいたり、掛け持ちでアルバイトをしていたりすると、実際は加入できる時間働いているのに、加入できないのが現状です。

正規雇用と非正規雇用の格差はじょじょに是正されていますが、まだまだ追い付いていないのが現状です。

労基違反じゃないの?~非正規が目の当たりにする理不尽について~

前章では、正規雇用と非正規雇用の違いについて解説しました。

さて、今回は非正規雇用の方が直面しそうなトラブルについて、例を挙げてお話していきたいと思います。

相談例:パート・アルバイト編

相談者:マサキさん(21)

僕はコールセンターでアルバイトしています。1年ほど前から、週5日出勤で、週30時間働いています。ネットで調べてみると社会保険に加入する必要があるようなのですが、現状加入していない状態です。大丈夫なのでしょうか。

社会保険は基本的に週30時間がボーダーライン?

社会保険は雇用保険と年金・健康保険で加入条件が異なっており、主な条件は以下のようになります。

⑴雇用保険の加入条件

・31日以上継続して雇用、もしくは雇用する見込みがあり、週20時間以上働いているとき。
・学生でないこと

⑵年金・健康保険の加入条件

・勤務時間が正社員の4分の3であること
・週20時間以上、年収が106万円以上であること
・雇用期間が1年以上の見込みがあること
・学生でないこと
・従業員数が501人以上の企業、もしくは500人以下の企業で社会保険の加入が労使(※)で合意があること。

基本的に、上記の条件を満たすと、雇用保険や年金・健康保険に加入することが出来ます。なお、⑴、⑵の両方にある、学生の定義には休学している方や夜間学校に通っている方は含まれません。今回のマサキさんの場合、マサキさんが学生であるかどうかが焦点になるのではないでしょうか。

※労働者と使用者のことです。使用者とは、事業主や事業の経営担当者のこと指します。

相談例:派遣社員編 なんで?正社員と扱い違くない?

相談者:タカノさん(31)

僕は、派遣社員として、食品会社で事務として働いています。同じ仕事量で同じ内容なのに、正規雇用のひととの待遇が全く異なります。例えば、派遣社員はエレベーターを利用できず、また社員食堂のスペースも利用できません。加えてウォーターサーバーなども使えないのです。また、交通費についても全く支給されません。同じ分の仕事をこなしているのに、理不尽に感じます。これって、差別じゃないですか?

待遇の格差…違法になる可能性は…?

正規雇用と派遣社員の違いであげられるのは、まず労働契約を交わしている企業が違います。正規雇用の方は直接、働く会社と契約を交わしている一方で、派遣社員は派遣元の会社と契約を結んでいます。労働者派遣法の第30条の3では、不合理な待遇の禁止規定があります。こちらの規定を破り、「待遇の格差が不合理であった」と判断されると派遣元には許可の取り消しや事業停止命令、改善命令などの厳しい処分がくだる可能性があります。

今回のタカノさんの場合、一度待遇改善について派遣元に相談したうえで、解消されない際には、お住まいの労働局に相談してみてはいかがでしょう。

相談サポート

働き方改革~そんなもの本当に進んでいるの…?~

働き方改革とは「一億総活躍社会」の実現に向けて労働環境の改善を目指すことを指します。もう少しわかりやすく言うと、過酷な労働条件、少子化などが相まって、労働人口が減少しているので、労働人口を減らさないようにしようという取り組みです。働き方改革に関連する法律のことを、「働き方改革関連法」と言い、2019年4月1日から順次施行されていっています。

法律が改正されて何が変わるの…?

現在は2020年になったわけですが、みなさんは、「働き方が改革されている」と感じることはありますでしょうか。働き方改革の目玉として、下記のような法律が施行されました。(施行される予定のものも記載しています。)

①労働時間に見直し

残業時間、いわゆる時間外労働が原則として上限が45時間に変更になりました。また、有給を10日以上取得した方に関しては、年5日の有給消化が義務となりました。その他にも勤務間インターバルの努力義務も成立しました。

勤務間インターバルとは、次回の出勤時までに10時間以上間を空けるといったものです。今ご紹介した制度は既に、大手、中小かかわらず企業で導入されています。

②雇用形態にかかわらない待遇にすること

2020年4月1日より大手企業から「同一労働・同一賃金」のルールが導入されています。雇用形態にかかわらず、同じ待遇、同じ給料にすることを目指しています。

例えば、「労基違反じゃないの?非正規が目の当たりにする理不尽について~」でもご紹介しましたが、不合理な待遇の格差は、是正の対象に罰則があります。また、契約社員やパート・アルバイトについては、罰則こそありませんが、有期雇用・パートタイム労働法で努力義務が定められました。

とはいえ、どもなかなか格差は縮まらない…

①、②でご紹介したとおり、国は正規雇用と非正規雇用との待遇格差、給料格差を縮めようとしていますが、現状は難しいという他ありません。確かに改善していることもありますが、待遇や給料格差の改善は企業のコスト増加につながります。

企業側から見れば、非正規雇用は有期雇用に比べ、コストが安く済むというメリットもあるので仕方ないといえば、仕方ないといえるかもしれません。

ネバーブラック~諦めたらそこで終了を回避するための対処法とは…~

ここまで、非正規雇用についてさまざまな観点からお話してきました。今回は、正規・非正規関わらず、「ブラック企業」に入社してしまった場合について考えていきましょう。

労働時間の無視、パワハラ、サービス残業の押し付け、中には社会保険に加入していないなんていう超絶ブラックな企業もあったりします。労働環境や職場の人間関係が劣悪だと、うつになったり自殺してしまったりと笑い事じゃありません。

よく、虐待された子どもが親になったとき、自分の子どもを虐待してしまうという負の連鎖があります。それと同じく、パワハラなどで無理やり力を押し付けられた人間は、自身が新人教育をおこなうとき、上司と同じような社畜教育を施すことになるのです。社畜になると社畜製造機に、なんて切ないですよね。したがって自身の勤めている企業が「ブラック企業」であると感じた時には周囲の意見を聞くと良いと思います。

といっても、同じ会社の同僚や上司などは仲が良くても避けるべきです。客観的に見てくれる友人や家族などに相談した方が良いでしょう。近くに信頼できるひとがいない時には、各県の労働局に相談窓口が設置してありますので、そちらに相談しても良いかもしれません。
詳細につきましては、「総合労働相談コーナーのご案内」をご確認ください。

ブラック企業を辞めるためには…?

ブラック企業は、字面のとおり真っ黒なので、退職届を提出しても握りつぶされてしまう可能性があります。そこで、正攻法でうまくいかなそうだと感じた際には、以下を検討してみると良いでしょう。

内容証明で退職届を提出する

先ほどもお伝えしたとおり、退職届を提出したとしても、「そんなもの貰っていない」と言われてしまう可能性があります。
そこで、内容証明を使うのです。

内容証明とは「いつ」「誰が」「どんな内容」の郵便を送ったかを証明してくれる郵便です。法律上では、退職届を提出してから2週間で退職をすることが出来ることになっています。内容証明の場合は、会社に届けられた日から2週間でカウントされます。
注意していただきたいのは、内容証明は非常に有力な証拠になることです。

退職した会社と訴訟になった場合、内容証明に知らずして自身にとって不利な内容を記載していることもあるので、送る内容はシンプルにすることが大切です。

損害が大きいならば、弁護士も検討

「会社を無理やり辞めると報復がありそう」「会社を辞めて残業代の不払い分を払ってもらいたい」のように、何かしら事情がある方は弁護士に依頼することを検討しても良いかもしれません。自分自身で退職する場合、その手続きをすべてひとりでおこなわなければなりません。

話し合いをしようにも、あちらからの圧力を感じ、思ったことが言えないといった可能性もあります。そういった場合に、弁護士が間に入ることによって、負担が軽減できるかもしれません。弁護士は法律のスペシャリストです。したがって、自分でどうしようもないときには頼ってみても良いかもしれませんね。

まとめ

今回は労働のトラブルについて、さまざまな切り口から解説をおこなってきました。現代社会では、生きていくためにはどうしたってお金が必要です。お金を得るためには、仕事をしなければなりません。

しかしながら、生活の比重が働くことに寄りすぎると、心のバランスを崩してしまう可能性が高くなります。したがって、自分の働く環境や働き方に疑問を覚えた際には、一度立ち止まって考えることも大切です。


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