「好きだから」結婚したのに、「嫌いだから」って離婚をすぐに決められない…。
旦那と離婚したとして、この先の生活は?
働くとして、子どものあずけ先は?教育費は?
養育費ってどんなときでももらえるの…?
全然わからなくて、頭パンクしそう!
目次
そもそも養育費って誰の権利なの?
養育費は、親権や監護権を持った親の権利だと思われがちですが、実は違います。
「養育費をもらえる権利」は親側にあるのではなく、子どもにあるのです。
極端に言うと、離婚理由がどうであれ、非親権者(非監護者)は、養育費を支払われなければいけません。
といっても、言葉だけの説明だと何が何だか分かりにくいですよね。
以下の具体例を挙げてお話していきたいと思います。
例1:夫が、「妻側が不倫をして、離婚をしたのでその子供に養育費を支払う必要はない」と主張しているのだが、養育費は貰えないの?
離婚の原因のあるひとを、有責配偶者と言います。
離婚の原因が、DVや虐待などでない限り、有責配偶者でも親権(もしくは監護権)を持つことが可能です。
また、離婚の原因は養育費の有無とは別問題なので、親権者(もしくは監護者)であれば、養育費を請求することが出来ます。
例2:元夫に「養育費を支払ってほしい」と言ったら、「もう夫婦じゃないんだから、支払う必要はない」と言われてしまったけど、本当にもらえないの?
養育費の支払い義務は、生活保持義務にあたります。
生活保持義務とは、とても重い義務で、扶養権利者(この場合は、子ども)に対して、扶養義務者(親)は自身と同等の生活を保障しなければなりません。
離婚しても、親であることには変わりがないので、養育費の支払い義務が免除されません。
また、収入が低くとも、多少無理してでも支払わなければならないものでもあります。
法律的な観点から考えると、養育費の支払いは、かなり優先的にされるものです。
とはいえ、実際は養育費をもらっていない方がたくさんいらっしゃいます。
詳しくは次章でご紹介したいと思います。
養育費をもらっていないシングルマザーはどれくらい…?
養育費は、必ず請求できるものとお話をしてきましたが、シングルマザーで養育費を受け取っている方はかなり少ないようです。
そこで、シングルマザーの方に「養育費を受け取っているかどうか」のアンケートを取り、下記のような結果になりました。
定期、不定期関わらず、「養育費をもらっている」と回答した方は、図で確認できるとおり、49パーセントでした。
つまり、シングルマザーの半数以上の方が、養育費をもらえていないわけです。
養育費をもらっていない方に養育費が不払いである状態の理由を聞いてみると、「相手にかかわりたくない」と回答された方が4割近くにのぼりました。
次いで多かった回答は、「相手に支払う意思が無い」。
他、どのような回答が多かったか気になる方もいらっしゃると思いますので、特に多かった理由の上位をまとめてみました。
以下のグラフを確認してみてください。
※複数回答ですので、100%を超えています。
確かに元夫との「関わり合い」は出来るだけ避けたいものですよね。
また、相手方から「支払う気なんてさらさらない!」なんて言われてしまったら、「何を言ってもムダ」と話し合いをする気力がうばわれてしまうと思います。
「現状は何とか生活できているからいいや」「私が頑張ってはたらけば、何とかなるでしょ」と考えている方もいるかもしれません。
しかし、子どもひとりを育てるには、どうしたってお金が必要です。
加えて、「おかあさん」が頑張りすぎて、身体を壊してしまったら元も子もありません。
次章では、子どもをひとり育てるためにかかるお金について、解説していきます。
教育にはお金がかかる!~シングルマザーの現状~
2019年10月から幼稚園や保育園の一部無償化制度がはじまりました。
また、2020年4月には、所得制限付きではありますが高校の授業料の実質無償化が開始されました。
教育費の負担が減ることは、素晴らしいことですが、それでも負担額がすべてなくなったわけではありません。
一体、どれくらいかかるのか確認していきましょう。
高校卒業までにかかる教育費
下記の表は公立と私立の学校へ行った場合の年間の教育費用になります。
公立 | 教育にかかる費用(年間) | 私立 | 教育にかかる費用(年間) |
公立幼稚園 | 223,647円 | 私立幼稚園 | 527,916円 |
公立保育園 | —- | 認可保育園(私立) | —- |
公立小学校 | 321,281円 | 私立小学校 | 1,598,691円 |
公立中学校 | 488,397円 | 私立中学校 | 1,406,433円 |
公立高校 | 457,380円 | 私立高校 | 969,911円 |
※公立保育園につきましては、収入によって金額が異なりますので記載していません。
表から確認してみると、3歳から幼稚園に入れ、すべて公立の学校に入れたとしても543万5,958円がかかる計算になります。
また、2019年度の4年制大学の進学率は56.8パーセントとなっており、プラスアルファでお金が必要になる可能性は否定できません。
なお、日本の大学のおよそ8割が、私立大学となっています。
私立大学は国公立の大学に比べ、授業料が高く、文系学科に進んだとして、年間100万円から150万円かかります。
また、理数系(医学部をふくむ)ですと、100万円から300万円ほどかかる可能性があります。
「教育費ってこんなにかかるの!」とおどろいた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
こちらの金額を踏まえて、シングルマザーの収入状況(平均)も確認していきたいと思います。
シングルマザーの収入状況
シングルマザーの方に、年収がどれくらいであるかのアンケートを取りました。
その結果を、末子年齢別に集計したところ、以下のような結果が出ました。
末子年齢(0~6)が低いと年収が200万円未満である方が、全体の4割を超えています。
一方で、年齢が上がるにつれて、200万円未満の割合が減っていることが確認できると思います。
実際に、末子年齢が6歳以下の平均年収が244万円であるのに対して、13歳から18歳の方は298万円と50万円近い差が見られました。
ひとり暮らしでは家賃を含め、かなりの節約生活をしても165万6,000円は最低かかるとされています。
数字上は、教育費を入れてもギリギリ足りる計算になりますが、実際は子どもが病気にかかったり、怪我をしたりして医療費が必要になることもあるでしょう。
そんな時に、養育費が重要になってくるのです。
養育費をもらえないときの対処法とは…!
ここまで養育費や、子どもを育てるためにかかるお金について確認していきました。
養育費がどれだけ大切なものであるのか、改めて感じられたのではないかと思います。
今回は、そんな大切な養育費の支払いがない場合の対処法について、ケース別に考えていきましょう。
養育費の取り決めをしたのに払ってもらえない
ひとくちに養育費の取り決めと言っても、下記のようなパターンに分かれると思います。
①養育費の支払いを口約束でおこなった場合
②離婚協議書で養育費の合意をしている場合
③養育費について公正証書を作成した場合
何となく①は、支払ってもらえないのではないかと不安に感じる方が多いのではないでしょうか。
そんなことはありません。
どのパターンでも、養育費の支払ってもらえる可能性があるのです。
早速、確認していきましょう。
①養育費の支払いを口約束でおこなった場合
意外に思われるかもしれませんが、法律上は口約束であっても、契約は成立します。
しかし契約を証明するものがないので、後々「言った」「言わない」で争いになることが多いのです。
したがって、口約束の契約は軽く見られがちで、養育費の請求をしても放置するひとが少なくありません。
ただし、「口約束」であっても、契約があったと証明できるケースもあります。
それは、元夫が一定期間のあいだ、一定のお金を振り込んでいた時です。
この場合は、一定の養育費を支払うと口約束で合意があったとされ、支払いを認められることもあります。
②離婚協議書で養育費の合意をしている場合
協議離婚(家庭裁判所をとおさないでの離婚)をしたときに、約束ごとを記載する書面のことを、離婚協議書と言います。
養育費の合意について記載された、離婚協議書は裁判所で法的手続きをする際に、非常に大切な証明になります。
離婚協議書は私文書扱いになるので、強制執行をおこなうことは出来ませんが、離婚後の紛争調整調停をおこない、養育費を支払ってもらえるケースもあります。
③養育費について公正証書を作成した場合
離婚協議書を、公正証書にする場合、証人を立てなければいけなかったり、ふたりで公証役場に行かねばなりません。
難しい手順を踏んだ公正証書に強制執行認諾文言がある場合には、給料の差し押さえなど、強制的に差し押さえすることが出来ます。
養育費を取り決めていなかった場合
「そもそも養育費って誰の権利なの」の項目でも触れましたが、離婚後であっても養育費の取り決めをすることは可能です。
ただし、注意していただきたいのは、離婚後から養育費の支払い請求をするまでの期間に発生する、養育費を請求することが出来ないことです。
またこちら側の請求に応じて、養育費の話し合いをしてくれる方であれば良いですが、所在地を教えず、行方をくらませてしまう人もいます。
「連絡が取れなくなったら、請求できるわけない」と諦めてしまう方もいらっしゃるでしょう。
しかし、住民票の除票から相手方の現住所を確認し、現住所を突き止められることがあります。
そこから自身で元夫とコンタクトを取り、養育費の取り決めをおこなえればよいですが、そもそも応じてくれるような相手ならば、所在地くらい教えてくれますよね。
そのため、離婚後でも利用できる養育費請求調停を利用すると良いでしょう。
調停をおこなうにあたって、相手方に家庭裁判から呼び出し状が送付されます。
元妻からの連絡は、どんなに重要なものでも個人的なものと判断され、無視される可能性が高いです。
しかし、「調停の呼び出し状」や「内容証明郵便」なんかが送付されてくると、心情的に「しっかり対応しなければ」と考える方が多くなると思います。
したがって、相手が話し合いに応じない場合には、家庭裁判所へ申し立てをおこなった方が良いでしょう。
なお、養育費請求調停は、離婚前に取り決めた養育費の金額を取り決め直したい場合にも利用が可能です。
子どもが成長し、養育費が必要になった場合に利用を検討してみるのも良いかもしれません。
まとめ
今回は、養育費をさまざまな観点から掘り下げていきました。
「教育にはお金がかかる!~シングルマザーの現状~」では、子どもの教育にどのくらいのお金がかかるかを解説しました。
実際どれくらいかかるかを可視化することで、養育費がどれだけ重要なのかを改めて感じられたかと思います。
しかし、残念ながら、養育費の支払い率はとても低いです。
また、離婚協議で養育費の取り決めをしたとしても、公正証書を作成しないと、「給料の差し押さえ」などの強制執行がむずかしいのが現状です。
では、どうすれば良いのか。
離婚時に、金銭問題で折り合いがつかないと考えたならば、調停の申し立てをおこなうことも手段のうちです。
養育費の取り決めをした調停調書や和解調書は、公正証書と同じように、不払い時、強制執行することが出来ます。
夫婦によっては、公正証書の作成のハードルが高い場合もあるので、どちらの方法があっているのか考えておくとよいでしょう。
また、養育費の不払い分の一定額を保障し、不払い分の養育費を代理で回収する養育費安心サポート(https://yoiku.support/)のサービスもあります。
公的なサービス、民間の事業でどんなものがあるのか調べてみるのも良いのではないでしょうか。