債務整理を自分一人で行うことは可能なのでしょうか?
弁護士に代理を依頼すると費用が多くかかりなるべく安く済ませたい…とお思いかもしれません。
実際、いくつかの債務整理は一人で行うことも可能ですが問題点も発生してしまいます。
ここでは各債務整理の方法を一人で行った場合に起こる問題点と弁護士に依頼するメリットを説明していきます。
任意整理って一人でできるの?
任意整理は私的な交渉故、一人で行うことが可能です。
しかしながら実際に自分で債権者と交渉を行ったとしても、利息の減額に応じてくれなかったり、交渉に応じてくれたとしても条件が悪かったりします。場合によっては債権者に言いくるめられてしまうかもしれません。
また多くの場合、債権者たちも日頃から交渉に慣れているプロであるので、知識や経験も豊富であり圧倒的にこちら側が不利な状態にあります。
やはり任意整理を行う際には、弁護士に交渉の代理を依頼することをお勧めします。
弁護士に代理人となってもらうことで、受任通知が債権者へ送られます。この受任通知により債権者は公的な方法を除き督促をすることが出来なくなります。
また、弁護士に依頼を行うことにより本当に支払うべき債務額を確定してくれます。既に時効が成立している借金や、利息制限法に違反していない利率であるかの調査を行い、依頼者の債権者に対する債務総額を確定します。
個人再生って一人でできるの?
個人再生は一人で行うことも可能ですが、一般的に弁護士等に依頼せず自分で進めることはむずかしいと言われています。
一人で個人再生を行う場合、申立人が主体となり進めなければならなく、裁判所や個人再生委員からの指示を守らず提出書類を怠れば、手続き自体が終了となってしまいます。
申立前に最低弁済基準額を計算し、毎月の支払額を決めるなど、多くの準備が必要となります。
また、申立が受理されてから再生計画が許可されるまで半年ほどかかるので、自分一人ですべての手続を進めることは、かなりの負担となってしまいます。
弁護士を選ばず本人が申し立てを行った際に、裁判所の補助として個人再生委員が選任されるのが原則となります。債権者はこの個人再生委員に対し15~30万程度の報酬額を支払わなければなりません。
弁護士に依頼を行うことにより、これらの面倒な手続きをすべて行ってくれます。
自己破産や任意整理と比較を行うとかなり制度が複雑であるので、費用は掛かりますが、なるべく弁護士を選任するのをお勧めします。
個人再生において必要な書類のみの作成を行う司法書士であればおよそ20~30万円、裁判所のやり取りも含めてすべて代理で行ってくれる弁護士であれば30~50万円となります。
自己破産ってひとりでできるの?
実際のところ自己破産を選択する90%以上の方が、弁護士などに代理を依頼していると言われています。
自己破産を行う際には多くの書類を用意しなければなりません。また、代理人(弁護士)による申立と本人申立で異なる資料を要求してくる裁判所も存在します。
代理人による申立は十分に調査がなされていると裁判所が判断する一方で、本人申立では十分に調査が行われたか裁判所は判断できません。本人申立の場合、その債務額を証明するための督促書や明細書の提出が要求されます。
また、申立に必要な財産調査等の作業を自分で作成する必要があり、裁判所によっては書類に対し書式が定められていたりします。これらを一人で行うには大変な時間と労力が必要になります。
弁護士に依頼すれば、これらの面倒な書類作成や調査を全て行ってくれます。
また、弁護士に依頼を行うことにより、その後の破産手続や免責手続において、申立人本人しか対応できないこと以外のすべてを対応してくれます。
また、審尋前や債権者集会前において、「質問に対しどのように答えればよいのか」等の適切な助言をしてくれます。
それにより免責許可決定を得られる確率が高まると言えます。
このように一人で債務整理を行うには、多くの労力・手間・知識が必要となってしまいます。日常生活を送る傍ら、このような手続きを同時進行することは決して容易ではありません。
これらの理由により、弁護士への相談をお勧めします。弁護士に相談すれば面倒な手続きを全て代わりに行ってもらえるので、審尋や債権者集会など自分でしか対応できない場合にのみ出席すれば良くなるのです。
弁護士への支払いがむずかしいという場合には、国が弁護士費用を立て替えてくれる「民事法律扶助」という制度も視野に入れておくこともお勧めします。