日本は世界的に見ても、父親が親権を取得する割合が、極端に低いです。理由は、男女の役割分担が、はっきりしていることや、共同親権ではなく単独親権であることが挙げられるでしょう。
親権を父親が取得するにはどうすれば良いか、真剣に考えていきましょう。
目次
そもそも親権とは?~なぜ親権は母親が有利なのか?~
離婚する前、親権は夫婦が共同に行使できる権利です。しかし、離婚すると、原則として、ひとりの親が親権を持つことになります。
なお、親権には2つの性質があり、以下のようになります。
親権の性質 | 行使できる内容 |
監護権 | 子どもと一緒に暮らし、養育をする権利。また、生活に必要な法律行為の代理をする。 |
財産管理権 | 子どもの財産を管理する権利。 |
家庭裁判所を介さない、協議離婚であれば、離婚届の「夫が親権を行う子」「妻が親権を行う子」の欄、いずれかに子どもの名前を記載すれば、ことたります。なお、子どもが複数いるときには、親権欄にひとりずつ名前を記載するかたちになります。
問題は、夫婦が子どもの親権について折り合いがつかないケースです。
親権の取得の折り合いがつかなかった場合、調停で父親が親権を取得した割合は以下のとおりです。
総数 | 18580 |
親権者が父親 | 1727(87) |
親権者が母親 | 17358(25) |
定め無し | 66 |
※1.「離婚」の調停成立又は調停に代わる審判事件のうち「子の親権者の定め」をすべき件数より
※2.カッコ内は親権者と監護者が分かれている数を表しています。
父親が親権を取得した割合は約9パーセントと、1割にも届いておらず、親権取得は母親側が有利だということがわかる資料です。しかし、なぜ、こんなにひらきがあるのでしょう。
そもそも親権を取得するにあたって、重要視されることは「どちらの親と居た方が、子どもにとってより幸せなのか」です。例え、母親側に離婚原因があったとしても、DVや虐待といったことでない限り、親権取得にはあまり関係がありません。
親権取得に重要なものとして、まず挙げられるのが養育実績です。
父親の親権取得の割合が低い要因のひとつとして、「養育実績が少ない」ことが挙げられると思います。
日本での夫婦の役割分担は、夫がお金を稼ぎ、妻が家事、育児全般をになうケースが少なくありません。結果、父親と子どもが一緒にいる時間が限られ、おのずと養育実績は母親の方が多くなります。
また、子どもの年齢が幼ければ幼いほど、離婚前の養育実績は重要度が増すため、離婚して「親権」を取りたいのであれば、まず、子どもとの時間を増やし、養育実績を積むということが大切になってきます。
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子供の親権を父親が勝ち取るにはどうすれば良いか?
前章では、父親が親権を取得するのは、非常に難しいとお伝えしました。しかし、「どうしても子どもと暮らしたい」、「何とかして親権を取得したい」とお考えの方もいるでしょう。
裁判所では、親権の有無をおもに以下のような点をかんがみ、裁定します。
- ・精神が安定している状態であること
- ・子供を養う経済力があるか
- ・子供との時間を作れるか
- ・育児をするうえでの環境を整えられるか
健康状態や、精神が安定していること
親権を取得する上で、心身の健康の安定は必須です。子どもと生活を送るためには、仕事をしなければいけませんし、育児は体力が必要です。また、親が精神不安定であると、子どもにもそれが伝わり、情緒面にトラブルを抱えてしまうことにつながりかねません。
そういった状況は子どもの幸せとは言えないので、心身共に健康であることをアピールするのは良いと思います。
子供を養う経済力があるか
子どもを育てるには、お金がかかります。高校卒業まで、かかる教育費はすべて公立を選択しても、550万円程度がかかります。更に大学へ進学するとなると、国公立でも、文系で4年間240万円程かかる計算になります。その他、衣食などにかかる出費もあります。
したがって、親権を取得する上で、経済的な余裕があることは、アドバンテージになる可能性が高いです。
子供との時間を作れるか
ひとりで子どもを育てるのは、想像以上に大変です。したがって、仕事と育児との折り合いがつけられるかが大切になります。判断材料になるのが、今までの養育実績です。離婚しても人が変わるわけではありません。
したがって、離婚をする前に、ある程度の養育実績を積んでおくことをおすすめします。
育児をするうえでの環境を整えられるか
片親になるにあたって、周囲の協力は必要不可欠です。自身の仕事が忙しいときに、子どもを看てくれる親などの協力を得られるか、勤めている会社に事情を話して、理解してもらうことが大切です。
以上が親権を取得する可能性が高くなるポイントでした。
母親に問題行動があった場合、親権が取りやすくなるように証拠を手に入れる
前章で、親権がとりやすくなるポイントをお伝えしましたが、母親側もその条件を満たしていた場合、やはり父親側が不利になることは否めません。では、どうすれば良いのか。
すこし、いやな言い方になってしまいますが、母親側の行動に欠点となる部分を見つけることが必要だと思われます。
例えば、母親の不倫が原因で離婚を決意していた場合、不倫相手と会っていた時、「子どもを放置していなかったか」、母親に精神不安定な時期があったら、その時に「子どもに危害を加えなかったか」などです。
父親側が虐待や育児放棄を主張し、証明することが出来れば、相手方は親権を取得するには不十分であると判断され、親権を取れる可能性が高まります。ただし、でっち上げは絶対にしないでください。また、子どもに対し、母親への悪い感情を植え付けるのもNGです。
子どもにとって親は絶対的存在です。子どもに悪い感情を植え付けた結果、情緒面や恋愛面において、将来支障がでることもあるので注意しましょう。
まとめ
今回は父親が親権を勝ち取れるのかを考えていきました。
親権は、子どもの意志関係なく親同士が決めるイメージがあるかもしれませんが、決してそうではありません。物事を判断する能力があると裁判所が判断すれば、子どもの意志が反映されることもあるのです。そのため、親権を取得したいのであれば、まずは子どもとの関係性を強化することが大切です。