自己破産と言うとネガティブなイメージがつきがちですが、一方で、借金を帳消しにし、人生の再スタートできるというポジティブな側面もあります。
また、自己破産や個人再生といった債務整理は専門家の力を借りなければ手続きをおこなうことが出来ないと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、そんなことはありません。
今回は、自己破産を自力でおこなう場合のメリットと注意点について確認していきましょう。
目次
自己破産を自力でおこなうメリットとは
自己破産を独力でおこなうには、まず自己破産がどのような仕組みなのかを考える必要があります。どのような制度なのか、以下にまとめてみましたのでご確認ください。
自己破産の概要
【申請先】
地方裁判所、または住所地を管轄している支部
【自己破産の特徴】
- 1.借金を帳消しにできる
- 2.99万円以下の現金を手元に残せる
- 3.20万円以下の財産は手元に残すことが出来る
自己破産をすると借金が帳消しになる代わりに、財産をすべて差し押さえされてしまうと勘違いしているひともいるかもしれません。しかし実際は、2,3を超えない範囲であればある程度の財産を手元に残すことが出来ます。
費用が掛からない
冒頭でもお伝えしましたが、自己破産の手続きをおこなうにあたって、司法書士や弁護士等の専門家に依頼することが通常フローになります。
しかしながら、専門家に依頼しなければ、自己破産の手続きができないというわけではありません。自力で、破産手続きを申し立てることができるのです。
専門家に依頼せず、自力で自己破産をするメリットは何といっても、費用を抑えられることでしょう。
専門家への依頼は、正確性やスピード性、精神的な負担を軽減する効果がある一方で、相談料や着手金、成功報酬など支払う必要があります。
自己破産を自力でおこなえば、専門家への依頼をすることはないので、相談料や着手金などのお金の支払いは発生しません。
自己破産を自力でおこなう注意点とは
とはいえ、専門家の手が入っていないということは、正確性が欠けているケースが多く、ある一定のリスクを自身で負わねばなりません。
ここからは、自力で自己破産をおこなう場合の注意点について確認していきたいと思います。
手続きに時間がかかる場合が多い
自力で自己破産をおこなう注意点として、自己破産の免責許可が下りるまで、時間がかかる可能性が高いという点です。
自己破産は、以下のような流れで手続きが展開していきます。
- 1.自己破産の申し立て
- 2.裁判官との面接
- 3.面接で問題なければ破産手続き開始が決定される
- 4.免責の決定
- 5.免責の確定
自力でおこなう場合、1や2で提出する書類などの不備によって、3の破産手続き開始の決定が先延ばしになってしまう可能性が高くなります。
というのも、独力で自己破産をおこなうケースの、借金の取り立ての停止は、3の手続き開始が決定されるまで続くからです。
一方で弁護士などの専門家が申し立てを代理した際には、「受任通知」によって借金の取り立てから解放されます。
書類の不備によって、自己破産の免責決定が遅れるだけでなく、執拗な取り立てを受け続けなければならない可能性があるのです。
債権者との交渉を自力でおこなう必要がある
自力で自己破産をおこなう場合、「自己破産の手続きの決定」がされるまでは、借金の取り立てがやまないということをお伝えしました。
それと併せて、債務者が自己破産をおこなった場合、債権者である貸金業者は、多かれ少なかれ損することになります。
自己破産の手続きの決定されてしまうと、取り立てが出来なくなってしまうため、債権回収の交渉の連絡が多くなることが多いです。
弁護士等の専門家に依頼している場合、債務の交渉を代理してくれますが、自力でおこなう場合は、自分で債権者と交渉をする必要があります。
債権者との交渉は、精神的負荷がかかるとともに、法的知識も必要になる場合があります。また、債権者と交渉するにあたって、過払い金が発生しているケースがあります。
しかしながら、債権者が債務者に対し、過払い金の有無を素直に伝えてくれることは少なく、自力で調べるほか手立てがありません。
過払い金が発生する可能性がある際には、専門家へ依頼したほうが良いかもしれません。
▼自己破産に関する相談はこちら
自己破産相談サポート
▼過払金に関する相談はこちら
過払金返還相談サポート
免責許可がおりない可能性がある
自己破産には、免責不許可事由というものがあり、主なものは以下のとおりになっています。
- 1.浪費やギャンブルなどによって多額の差有無を負った場合
- 2.自己破産する予定の財産を壊したり、意図的に隠したり、他人に贈与した場合
- 3.自己破産の手続きをおこなう前の1年間に、自身の年収など重大な信用情報に嘘をつき、クレジットカードで物を購入したり、お金を借りたりしたとき
- 4.お金を借りたり、クレジットカードを利用したりして商品を購入し、それを非常に安い金額で売って金銭に変えた場合
- 5.破産申し立てをおこなった日から7年以内に免責を受けていた場合
- 6.裁判所や、破産管財人のおこなう調査に協力しなかった場合
なお、上記に当てはまっている場合でも、借金の総額や、悪質さの程度などを裁判所が考慮し、免責を認めてくれることもあります。
ただし、免責を受けるためには、裁判所とおこなう面接で自分の反省や事情などをしっかり伝えることが大切です。
しかしながら、独力では、どのような立ち振る舞いをすればいいのかアドバイスを受けることが出来ず、免責不許可になってしまうことがあります。
借金の理由が免責不許可事由に当たると思った方は、自力でおこなうのではなく、一旦専門家に相談してもいいかもしれませんね。
まとめ
今回は、自力でおこなう自己破産のメリットともに、注意点について確認していきました。自己破産は人生のやり直しを図ることのできる大切な制度の反面、借金を帳消しにできる強い効力を持つので、免責許可が下りるまでに時間がかかるケースもあります。
自力でおこなうリスクを理解しつつ、自身には手に余ると考えた時には、専門家を頼ることも検討すべきでしょう。