アスクプロ株式会社( https://askpro.co.jp/)は、離婚及び養育費に関する意識調査を、未婚を含む20代から50代の女性50,000人を対象に独自インターネット調査にて実施しました。(アスクプロ株式会社では法律にまつわる問題に対して調査をおこない、不定期に公表を実施しております)
本記事では、意識調査の結果を公表させていただきたいと思います。
目次
【理想と現実の違い】養育費をもらっている割合は少ない
2020年4月1日に民事執行法の一部が改正され、養育費を回収しやすくなったといわれています。
子供の教育や、養育をおこなうために大切なお金である養育費。法律でも、養育費の重要性が認められています。しかしながら、法律上、重要であることが認められているといっても、養育費を受け取っていない方もおり、現実と必ずしもリンクしているとは限りません。
実際に、離婚した女性のなかで、養育費をもらっている割合はどれくらいなのでしょうか。
養育費の受け取り状況
意識調査では、以下のような結果になりましたので、ご確認ください。
※上記は再婚者を含めた養育費受け取り状況となっております。
離婚後、定期的に養育費を受け取れている女性の割合は、25.5%と、3割にも満たない数値でした。特筆するべき点として、離婚時に養育費の取り決めをしていない方が3割程度いらっしゃることではないでしょうか。
養育費を支払うことは、親の義務であり、一方で子供の権利でもあります。にもかかわらず、なぜ3割近くの女性が養育費の取り決めをおこなっていないのでしょうか。次章で詳しく確認していきたいと思います。
【なぜ養育費を請求しない?】養育費をもらっていない理由とは
『養育費受け取り状況』の調査結果から、養育費を「取り決めていない」と回答した女性が、全体の3割近くに上るということが分かりました。
ここで、調査結果を確認する前に、なぜ養育費の取り決めていない女性の割合が高いのか考えてみましょう。
私見になりますが、「取り決めしても、夫が支払ってくれるとは限らない」と最初から期待していない女性が多いのではないかと推測しました。みなさんは、どのように予想しましたか。
予想と調査結果が合っているか意識しながら確認していきましょう。
以下は意識調査で多かった回答の上位5位までをランキング形式にまとめたものです。
- 1位 相手と関わりたくない(6%)
- 2位 相手に支払う意思がない (1%)
- 3位 相手に支払い能力が無い (2%)
- 4位 養育費は請求しないと決めた (6%)
- 5位 取り決めの交渉が煩わしい (7%)
※複数回答のため、100%を超えます。
相手と関わりたくない
養育費の取り決めしなかった理由の1位は、「相手と関わりたくない」でした。離婚した元夫と関わりたくないと思うのは、心情的に当たり前のことです。離婚理由が不倫やDVなど、相手方に原因があったときは、なおさらでしょう。
相手に支払う意思がない
2位は、「相手に支払う意思がない」です。「相手と関わりたくない」と並んで突出して、回答の多かった理由になります。離婚したとはいえ、子供の父親でなくなったわけではないので支払いが免除されるわけではないのですが、言い争いが嫌で諦めてしまう方が多いのかもしれません。
相手に支払い能力が無い
3位は、「相手に支払い能力が無い」でした。確かにまったく収入が無い状態であれば、現実的には養育費の回収は難しいと思います。しかし、多少生活を切り詰めてでも支払う義務は発生します。
養育費を支払うことは親の義務です。たとえ、収入が低くとも養育費を支払う義務がなくなるわけではありません。しかし、女性側の「相手と関わりたくない」という心情も相まって、請求すらしていないケースもあるのではないかと考えられます。
養育費は請求しないと決めた
4位は「養育費は請求しないと決めた」でした。あえて、養育費を請求しないという姿勢は、女性側の強い意志が感じられます。夫婦間の話し合いで、養育費を請求しないと取り決めすることは可能です。ただし、養育費の請求権は、子供を養育する親の権利でもありますが、同時に子供の権利でもあります。そのため、夫婦間で「養育費をもらわない」と取り決めしたとしても、後々になって子供が養育費を望んだ場合には、子供から一緒に暮らしていない親へ請求することもできます。
取り決めの交渉が煩わしい
5位は、「取り決めの交渉が煩わしい」でした。確かに、子供のいる夫婦が離婚する場合、取り決めすることがたくさんあり、煩わしいと感じる方も多いのかもしれません。しかし、煩わしいと言っても、子供の年齢や進学等の事情によっては、20年以上受け取ることができるお金です。そのため、一時の感情で「養育費を取り決めない」と方が得策でしょう。
ここまでは「養育費を取り決めない理由」の上位5位までを紹介させていただきました。結果をみると、どの理由も根底には、「相手と関わりたくない」という心情があるのではないかと推測されます。
夫婦の離婚原因ランキング
では、目線を少し変えて離婚原因ランキングを確認していきましょう。
【女性の離婚原因ランキングトップ10】
- 1. 性格が合わない(18,268件)
- 2. 生活費を渡さない(13,725件)
- 3. 精神的に虐待する(11,801件)
- 4. 暴力を振るう(9,745件)
- 5. 異性関係(7,378件)
- 6. その他(5,189件)
- 7. 浪費する(4,686件)
- 8. 家庭を捨てて省みない(3,600件)
- 9. 家族親族と折り合いが悪い(3,171件)
- 10. 不詳(2,810件)
【出典】裁判所:司法統計 平成30年度 婚姻関係事件数 申立ての動機別申立人別 全家庭裁判所
離婚原因の1位は性格が合わないでした。ものの考え方や価値観がかみ合わないとストレスが溜まりがちです。また、6位の「その他」を除く離婚原因は、肉体的、精神的苦痛を伴うものなので、元夫と関わり合いを持ちたくないと思うのも仕方ないかもしれません。
しかし、離婚後の生活にはお金が必要です。生活の困窮のリスクを低くするためにも、養育費の取り決めはしておくべきでしょう。
まとめ
今回は、意識調査の結果の公表させていただきました。調査結果のとおり、養育費をもらっている方はわずか3割未満です。
繰り返しになりますが、養育費は育児において重要なお金であり、また子供はもらう権利を持っています。そのため、子供連れで離婚を考えている方は事前に養育費の取り決めをしておくべきでしょう。
とはいえ、今回の調査で、養育費を取り決めた方のなかでも4割以上が、「滞納」や「未払い」という状況に直面しています。
そのような場合には、専門家に相談したり、養育費安心サポートといった民間保障サービスを活用することで、解決できることもあります。養育費について悩んでいる方は、ぜひ一度相談してみてください。
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