電車でちらりと横を向いてると、けっこうな確率でSNSを見ているひとがいます。
TwitterやInstagram、FacebookにTikTok!もはや欠かせない存在になりつつあるLINE。
ぜんぶSNSです!
もはや、国民全員が利用してるんじゃないか?レベルのSNSですが、便利な分やっぱり「陰」もあるわけで。今回はとっても役立つシステムの、SNS問題について確認していきたいと思います。
目次
日本のSNS普及率はびっくりするほど多い!
SNSのはじまりというと、何となくmixiを思い出される方が多いのではないでしょうか。
サービスを開始したばかりのmixiは、18歳以上限定で、また紹介がないと始めることが出来ませんでした。当時、18歳未満だった筆者は、姉が利用している姿を見つつ、「大人の世界」だと勝手に考えておりました。
しかし、現在では、特に年齢制限なくほとんどのSNSが利用できると思います。利用の用途はひとによってさまざま。普段言えない、隠れた趣味の叫ぶ発散場所にしている方や、リアルの友人とつながって内輪で楽しむ方。自分ではつぶやかず、情報を収集するために利用している方。利用の目的は多岐にわたります。
今や、利用していない方が少ないのではないかと思うほど、急速に利用者が多くなったSNSですが、実際のところはどうなのでしょうか。
SNS普及率は50パーセントを超える、利用者およそ7975万人!?
ICT総研が2020年7月29日に公表したSNS利用動向に関する調査によると、日本のSNSのアクティブユーザーはおよそ7,975万人。また普及率は、80パーセントを超えると推測されています。
また、LINEは2020年7月に国内ユーザー数は8400万人を超えたと発表しました。日本の人口は2019年時点で1億2632万人といわれております。つまり、実に60パーセントを超えるひとが、SNSを積極的に活用しているといっても良いかもしれません。
また、PCやスマホの操作が苦手だと思われがちな60代や70代でも4割から5割のひとが利用していると推測されています。SNSはもはや、水道や電気のように生活に必要なインフラになりつつあるのかもしれません。
SNSでの誹謗中傷は犯罪にもなる?
前章ではSNSの利用率が国民の60パーセントを超えているとお伝えいたしました。気軽に自分の考えを発信でき、情報を確認できる便利なツールであるSNS。しかし、残念ながら、利点だけでなく欠点も存在します。
2020年は新型コロナウイルスの流行の話題で、持ち切りな感じがしますが、SNSの闇が垣間見えたニュースも多々報道されました。それが、SNSの誹謗中傷による自殺…。すでに3人の方が、SNSの誹謗中傷によって自殺したと言われています。
SNSの誹謗中傷トラブルは、日本だけではなく、お隣の国、韓国でもアイドルの自殺が報道されています。また、イギリスではリアリティーショーの出演者がSNSの誹謗中傷によって自殺したということもありました。
TwitterなどのSNSの特徴として、FacebookやInstagramとは異なり、匿名性が強いことがあげられます。心理的に、対面ではない人間に対して、悪口を言っても、罪悪感は希薄になりがちです。匿名なので、責任を追及されることもないし、矛盾があって指摘されても、けむに巻いてしまえばいい。ネットから生まれる仮想空間は、時にひとを自分本位にします。
しかし、「指殺人」になりかねない、SNSの誹謗中傷。有名人の自殺を受け、状況が変わりつつあります。
参考:SNSでの中傷で自殺に追いやる“指殺人”
SNSの誹謗中傷は、犯罪?訴えられることはあるの?
TwitterやInstagramなどSNSでの誹謗中傷は犯罪になるのか。誹謗中傷は、インターネットに限らず侮辱罪や、名誉棄損罪に該当する可能性があります。とはいえ、そもそも「誹謗中傷」が具体的に何を指すのか判断が難しいことや、親告罪であるため、事例はあまり多くありません。
しかしながら、今後インターネットやSNSを利用した誹謗中傷が増加すると考えられるので、新しい法律が生まれるかもしれません。
また、SNSでの誹謗中傷は、民事訴訟を申し立てることが出来ます。とはいえ、訴訟の手続きには、被告(訴えられる人)の個人情報が必要。「匿名ならバレることないでしょ」と高をくくっている方もいるかもしれません。しかしそれは大間違い!訴訟にたる正当な理由があれば、プロバイダーに情報開示請求をすることができますので、心当たりがある方はご注意ください。
誹謗中傷の統制に消極的なのはなぜ?
日本の憲法には、言論の自由が保障されています。言論の自由は原則として侵されてはならない人間としての権利です。国がSNSやインターネット上で悪質な誹謗中傷の制限に足踏みをしてしまう原因のひとつに「言論の自由」が挙げられると思います。
というのも、誹謗中傷と似た解釈をされがちなものに批判や批評と言うものがあります。批判と批評とは、元来社会や組織に必要不可欠なものなのです。批判や批評は、物事の悪い点を指摘したり、物事の良し悪しを判断することを言います。つまり、一方的に相手方を悪く言う誹謗中傷とは、一線を画すのです。
しかし、物事の悪いところを指摘するので、場合によって誹謗中傷として受け取られることがあります。誹謗中傷を規制した場合、批判や批評がしにくくってしまう危険性があります。批判や批評を排していくと、最終的に行きつくのは独裁国家です。何事にもやりすぎは禁物ですね。
人の生死が係ることもあるので問題解決をはからなければいけませんが、非常に判断が難しいと言えるでしょう。
SNSトラブルは悪口だけじゃない!~子どもの性犯罪へつながる恐怖~
SNSの問題点として、次にあげられるのが性犯罪に巻き込まれる可能性です。成人もさることながら、未成年も犯罪に巻き込まれる率が多いです。
元々、恋愛と文字は切っても切れない関係にあります。1000年以上前は恋文としょうして、手紙のやり取りで恋愛をしていました。時代は令和に入りましたが。最新の技術、SNSでも文字が恋愛に活用されていることは否めません。また、「出会いはSNS」という夫婦もちらほらと出てくるようになりました。
しかし、必ずしも仮想空間=現実ではありません。匿名性から、年齢を偽っていたり、性別を偽っていたりしているひともいます。年齢や性別を本来の自分と違うものに設定すること自体は、特段悪いことではありません。
とはいえ、明らかに誰かを騙す目的で、偽る人間もいるのです。
- ・「SNSのプロフィールでは女性と言っていたのに実は男性だった」
- ・「同じ高校生だと思いきや相手が40代だった」
上記のようにSNSに載せられている情報では判断つきにくいこともあります。「そんな目に遭ったとしても逃げればいい」「性犯罪なんて、叫べば誰か来てくれるでしょ」と軽く考えるのは悪手です。
成人男性の力は、想像以上に強いです。細い人だと思っても、抑えまれたら、全然抵抗することが出来ません。さらに本当に恐怖を感じた時、とっさに声をあげるのは困難です。出そうとしても硬直してしまい、大声を出せる人なんてほとんどいないでしょう。
したがって、ある程度の自衛が必要になってきます。成人であれば、なんとなくSNSの内容で「このひとは危なそう」とか「関わらない方が良いかも」と感じられるかもしれません。
しかし、未成年の子どもは、判断がつかず甘い言葉に騙されてしまう可能性が高いです。
実際に、2019年度、SNS関連で性犯罪に遭った子供の件数は、過去最多を記録しました。子供が性犯罪に遭う…なんて考えたくもありませんが、実際に直面した場合どんな対応をすればよいのでしょうか。
子供が性犯罪に遭わないための予防策とは…?
SNSの性犯罪として、未成年が巻き込まれやすいものは、児童ポルノ。規制対象は、18歳未満の未成年です。もっとも被害人数が多いのは高校生で、なかには自ら画像を送った子供もいます。高校生になると交友関係の輪が広がり、また思春期も相まって、親でも子供のすべてを把握することが難しいと思います。
かといって、SNSの禁止や理由も言わずに「○○を止めなさい」と頭ごなしに叱れば、反発したくなるものです。したがって、子供の権利や洗濯の自由を尊重しつつも、SNSやインターネットの危険性を合理的に伝えると良いと思います。
例えば、デジタルタトゥ―の問題。デジタルタトゥ―とは、一度インターネット(SNS)上に挙げた情報を完全に削除することはできないという意味です。
また、二次被害が起こる可能性も否定できません。きわどい写真がインターネット(SNS)上に出回ることによって、子供の友人や知り合い、学校の関係者に知られてしまう可能性があります。結果、画像のことをからかわれたり、いじめが起こるかもしれません。
制限のない自由には常に自分の行動に責任を取らなければならないことを伝えましょう。
- ・「軽い気持ち」
- ・「出来心」
心に魔が差すのは誰しもにあることです。しかし、その「魔」の危険性を子どもにしっかりと理解させることが大切です。
また、万が一被害に遭った場合には、知った時点ですぐに行動してください。SNS等のやり取りやサイトのURLなどを確認のうえ、警察や弁護士に相談しましょう。初動が早ければ早いほど、拡散のリスクを下げられます。
SNSでも著作権侵害に?!Reツイートで起こるトラブル
フォロワーがリツイートした漫画や絵などの画像。「いいな」と思ったら、軽く「いいね」のボタンを押してしまうと思います。
しかし、知っていましたか。無断転載したツイートをリツイートすると著作権侵害になる可能性があることを…。
そもそも著作権とは?
そもそも著作権とはどんな権利なのでしょうか。著作権とは、厳密にいうとふたつに分けることができ、著作権と著作人格権になります。
著作権
アニメや小説、漫画など創作した作者が持つ権利で財産として所有することが出来ます。複製(コピー)や公開の許可権を持っています。著作権は作者の財産とみなされるので、一部または、すべてを他者に譲渡することは可能です。
著作人格権
著作人格権とは、公表の許可や改変の許可、公開時に氏名を表示させるかどうかの許可権を持っています。前述した著作権とは異なり、一身専属性になります。一身専属性とは、他人に譲渡することの出来ない、創作者本人に帰属する権利のことを指します。
以上が著作権のふたつの性質でした。財産権と人格権のふたつの性質があるため、著作権を出版社や配給会社、広告代理店などが行使することが出来るのです。
著作権の範囲とは?
創作物というと前述のとおり、アニメや漫画、小説、美術に関するものを想像しがちですが、著作権の及ぶ範囲はとても広いです。以下に表をしてみましたので、確認してみてください。
著作権の及ぶ範囲
①言語に関する創作 | 小説・論文・詩集・漫画など |
②音楽に関する創作 | 歌詞・曲 |
③ダンスに関する創作 | 振付 |
④美術に関する創作 | 絵画・版画・書・彫刻など |
⑤建築に関する創作 | 芸術的な建造物・設計図 |
⑥写真・映画に関する創作 | 動画(ゲームやCMも含む)・写真・グラビア |
⑦二次創作 | ①~⑥を翻訳したり変形したりしたもの |
⑧編集に関する創作 | 新聞・雑誌・辞典など |
おもなものを例に挙げてみましたが、かなり広範囲であることが解ると思います。
Twitterのつぶやきは①、④や⑥、⑦に当てはまりそうです。⑦の二次創作にも著作権があるということに驚いた方もいるのではないでしょうか。二次創作をざっくり説明すると、元々あった小説や漫画の設定やキャラクターを借りて、新しい作品を作ることを指します。
ということは、「そもそも著作権とは?」でご説明した著作人格権の「改変」などを侵害していそうですね。結論から言ってしまえば、二次創作はものによって、著作権を侵害している可能性は大いにあります。しかし、流通している二次創作の量に対して。で作者が訴えたという事例はあまり聞かないですよね。
これには、日本の著作権が親告罪であることが要因だとされています。親告罪とは、権利者が告訴をおこなわなければ、公訴されない罪のことです。二次創作の大半は、権利者の作品のファンが作成しているので、違反していても常識の範囲内で楽しむ分には、スルーしているというのが現状です。
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SNS上で多い著作権トラブルとは?
Twitterでの著作権侵害のトラブルは、紙媒体で連載している漫画、いわゆる商業的なものよりも、趣味で絵や漫画を描いているひとの方が多い気がします。趣味で書いている漫画や絵、小説でも当然のことながら著作権は発生します。したがって、「良いな」と思ったものを創作者の許可なくツイートする行為はダメ、絶対です。自分の著作物を無断ツイートされていた場合には、まずツイートしたひとにダイレクトメールで該当のツイートを削除するように指示しましょう。
無断ツイートのなかには悪意を持っておらずやっているひともいるので、そういった方は素直に応じてくれると思います。削除依頼をしても対応してくれないひとに関しては、Twitter社に報告し、削除してもらう方法もありますので検討してみると良いでしょう。
とはいえ、Twitterのもうひとつの問題として、意識の問題があります。Twitterの公開範囲を制限していないと、誰にでも見られる状態です。
しばしば、「無断でリツイートしないでください。著作権侵害です」という言葉を見聞きしますが、創作者自身のツイートをリツイートすることは特段問題がない行為だと思われます。そもそもリツイートはTwitterの特徴なので、プロフィールに「無断リツイート禁止」と記載しても、規約ではない独自ルールを守るか守らないかは、個人の自由です。
したがって、全体公開している以上、フォロワー外からリツイートされる可能性は0ではありません。内輪だけで楽しみたいのであればアカウントに閲覧制限を付けた方が良いと思います。
SNSを含め、インターネットの著作権のトラブルはこれから、ますます増えていくと予想されます。トラブルを回避するためにも、一度著作権について考えてみると良いかもしれません。
まとめ
今回はSNS上であるトラブルについて取り上げていきました。2010年代にかけて急激に需要が高まったSNS。今や国の官庁や政治家も利用しているツールです。情報を簡単に集めることのできる便利なツールですが、反面今回紹介させていただいたような問題も発生しています。
自分自身がSNSのトラブルに巻き込まれないためにも、一度「ネットリテラシー」を確認してみても良いかもしれません。世界中の全員が善人でないように、SNSの世界にも善悪問わず、さまざまなひとがいます。リスクを理解したうえで、SNSを活用していただけたらと思います。