会社として従業員を雇っている以上、身内だと思っていた従業員から訴えられる可能性もゼロではありません。
そこで、今回は会社として従業員から訴えられた場合にどのように対応するべきか対処方法をご紹介します。
目次
従業員と直接交渉する
まず、従業員はどのような不満を抱えているのかをしっかり聞き、従業員と交渉することが大切です。
従業員が不満に思っていることについてヒアリングし、会社として規則などを整えていた場合は従業員に規則の存在や内容を説明し、納得してもらえる努力をしましょう。
訴訟になれば、それだけコストがかかります。訴訟を避け、解決の方向を探ることが会社側の目標になります。ただし、すでに相手に弁護士がついている場合には、交渉が難しいようなことも考えられます。
弁護士と早急に相談することが大切
訴状や労働審判申立書が届いた場合には、早急に弁護士に相談することが大切です。会社側は、意見をまとめた答弁書を作成するなどの準備を進めていく必要があります。
しかし、訴状や労働審判申立書が届いてから第一回期日まではあまり時間がありません。
非常に時間的に切迫した状態で作成することになりますので、専門的な法律知識を持った弁護士と相談し、十分な準備を整えなくてはなりません。
従業員側も入念に準備をしていることが多いので、ここで差をつけられてしまうと、会社側に思わぬ損害が出てしまいます。一刻を争うことですので、弁護士への相談はなるべく早くしておくことが大切になります。
従業員から訴えられるケース
従業員から訴えられるケースにはどのようなものがあるのでしょうか?
ここではその具体的な事例についてみていこうと思います。
人事のトラブル
まずは人事のトラブルについてです。
人事は労働者にとって不利になることも多いため、従業員が不満を持ちやすい問題です。配転・転勤に関して従業員が同意していないからできないと訴えたり、降格について、なぜ降格されるのか納得できないといった事例です。
原則として、会社は適材適所で人材を配置する人事権を持っていますので、思わぬ不利益を被らないようにしっかりと対応していくことが重要になります。
賃金のトラブル
賃金に関してもトラブルは起きます。例えば、給与や手当、残業代の不支給に関して従業員が訴える可能性があります。
賃金のトラブルの場合、金銭的なトラブルなので会社の利益にも直結する重大な問題になりえます。
しかし、法律や規則に従い明白な根拠を持って賃金を決めているのであれば、そのような問題にも対応することができます。
訴えられた時にどのような反論をすればいいか、何を根拠にして会社側の主張をするのかについては法律的な知識を要するため慎重に進めていかなくてはなりません。
退職・解雇・懲戒のトラブル
退職・解雇・懲戒は従業員にとっては不利益になります。そのため、会社側に不満を持ち、訴訟などに発展するケースが多い傾向にあります。
解雇や懲戒については会社側が自由にいくらでもやっていいというわけではなく、労働基準法等の要件を満たしていなくてはなりません。例えば、解雇予告や労働者に退職を促す退職勧奨は法令を満たしたうえで行う必要があります。そのため、元従業員から、条件を満たしていないので無効だと訴えられたり、損害賠償請求をされる可能性があります。
まとめ1
どのようなトラブルであっても、法律的な知識を要します。トラブルが起こってしまえば、弁護士などに相談して解決を図ることも重要ですが、このようなトラブルを予見し、トラブルを防ぐような規則作りも大切になります。
次に、訴えられる前に会社側ができる対策についてみていきます。
訴えられた時のために
訴えられた時に備えて、会社側にできることは多岐にわたります。
例えば、就業規則を新たに作り直したり、加筆することも一つの手段です。会社設立時に就業規則を作成してそのままにしていた場合、現行の法令や組織体制などと誤差が生じている可能性があります。また、退職金や育児休暇、介護休暇、通勤手当などの規則に関して規定が明文化されていない場合には、社労士や弁護士などの専門家と相談しながら規定を整備していくことも重要です。
このようなことを予防法務といいます。
また、法律的な整備以外にも「タイムカードを設置して労務管理の徹底を図る」といった管理面での改善や、「オフィスに設備を新調して労働環境を整える」といった対応によって、労働者が働きやすい環境を整えることも大切です。
会社側には継続して規定や環境を整えるコストがかかりますが、訴訟が起きればそれ以上にコストがかかってしまうため、結果的には会社にとっても利益になります。
また、顧問弁護士や顧問社会保険労務士をつけておけば、トラブルが起こっても迅速な対応ができるため、時間と労力を訴訟に割く必要がなるため安心です。
まとめ2
会社として大切なのは、リスクを管理し、最も利益になる選択をすることです。会社側に責任がなくても責任があることにされてしまったり、訴訟で会社の評判を落としてしまう可能性は十分にあります。
今の時点で労働問題が発生していない場合には労務環境の整備に取り組み、すでに労働問題が発生している場合には弁護士に相談の上、会社としてよりよい方向性を検討してみてはいかがでしょうか?