現在、日本では4組に1組の夫婦が離婚しているといわれています。
生涯を誓い合い結婚した二人が、いつの間にかすれ違い、もう一度別の人生を歩むことを考える。
離婚する夫婦は昔より多くなり、離婚経験のある人が身近にいるかもしれません。
しかし、離婚は結婚と同じように、もう一度お互いの人生を考えて行わなければなりません。
子どもがいる夫婦の離婚の場合、当然子どもの人生にも関わってくるものです。
これからも夫婦として暮らしていくことに疑問を覚えたり、今の生活にすれ違いや破綻があったりと、夫婦が抱える悩みはさまざまで、離婚する理由も家庭ごとに千差万別です。
離婚は結婚と同じように法律に定められたものですから、手続きも必要になります。
配偶者の浮気があった場合などは、特に精神的負担も大きなものになります。
ひとりだけで解決することは困難です。
離婚という文字が頭によぎったとき、いったい誰に相談すればいいのか、これからみていきましょう。
状況によって相談する専門家は変わっていく
離婚を考えたとき、自分ひとりで結論を出すことは非常に困難です。
これまで夫婦として暮らしてきた配偶者への感情、子どもの将来、お金のこと、など考えなければならないことが数多くあります。
自分の気持ちを整理することも、そう簡単にできるものではありません。
では、離婚が頭によぎったとき、誰に相談すればいいのでしょうか。
親密な友人や近い親戚を相談相手に考える人もいるかもしれません。
では、より専門的にアドバイスをもらうとしたら、誰に相談するのが適切なのでしょうか。
離婚について詳しい助言を求めて相談相手を探すとすれば、その相手は状況によって異なります。
離婚の専門的な相談相手として考えられる、離婚カウンセラーや探偵などの調査会社、弁護士などの士業について、これから詳しくみていきましょう。
離婚カウンセラーについて
離婚カウンセラーという職業を耳にしたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
離婚カウンセラーとは、離婚を考えている人に対して、離婚するべきなのかそうでないのかも含めて解決方法をアドバイスする仕事です。
しかし、離婚カウンセラーは国家資格など行政が定めた資格があるわけではありません。
離婚カウンセラーという肩書き自体は、いつでも誰でも持つことが出来るのです。
そのため、相談する離婚カウンセラーが本当にプロフェッショナルとして信頼できる人かどうかを見極めなければなりません。
国や地方自治体が行政として定めた資格はありませんが、NPO法人日本家族問題相談連盟が独自に離婚カウンセラーの会員認定試験を設けているほか、一般財団法人日本能力開発推進協会 (JADP)も夫婦カウンセラーの資格を作成しています。
離婚カウンセラーの相談料の相場ですが、先に述べたとおり国家資格ではないために一律の基準などは設けられていません。
例として、大手の離婚カウンセラー業者では、1時間で10,800円となっています。
離婚カウンセラーに資格はありませんが、夫婦の問題を中立的に考え、解決策を提案してくれるという点では相談するメリットがあると言えます。
相談する弁護士によっては離婚を決断してからでなければ力を貸せないという人もいるかもしれませんし、相談する心理カウンセラーが離婚の手続きに詳しいとも限りません。
そういった意味では、離婚をするべきかそうでないのかも含めて、現在の夫婦の問題とこれからどうしていくべきかの解決策を、離婚カウンセラーに相談するのは良い方法だと言えるのではないでしょうか。
探偵や興信所などの調査会社について
調査会社には主に探偵と興信所に分けられます。
普段からよく耳にするような身近な業界ではありませんが、名前だけは聞いたことがあるのではないでしょうか。
探偵や興信所などの調査会社は、主に行動調査と信用調査を行っています。
行動調査とは、浮気などが疑われる結婚相手や恋人にたいしてその行動内容を調査するものです。
信用調査とは、結婚相手や取引先の企業などの経済状況などの信用情報を調査するものです。
探偵と興信所ができた当初、探偵は行動調査を主に行い、興信所は信用調査を主に行うといったものでした。
しかし、現在は探偵と興信所の区別も少なくなっています。
では、離婚に関係して探偵や調査会社に相談のが良いのはどのようなときなのでしょうか。
離婚裁判の場合は、民法に定められた離婚の理由のいずれか一つとそれにかかわる証拠が必要になります。
民法に定められた5つ離婚の理由とは、配偶者に不貞行為があった場合、配偶者が結婚の義務を意図して怠った場合、配偶者の生死が3年以上にわたり不明な場合、配偶者が重度の精神病にかかり回復の見込みがない場合、そのほか婚姻を継続しがたい重大な理由がある場合の5つです。
ここでは特に配偶者に不貞行為があった場合、その証拠を確保することは肉体的にも精神的にも困難なケースがあります。
また、離婚裁判にまで持ち込まずとも、離婚調停や離婚協議の際にも、証拠を押さえておくことで、配偶者との話し合いを有利に進めることができます。
調査会社は、依頼する調査の内容や、調査に要する時間によってかかる費用は異なりますが、人件費がかかるため高額になるケースがあります。
必ずしも調査会社に依頼せずとも、ご自身で集めた間接的な証拠だけでも、十分に相手の不貞行為やDVなどを立証出来るケースもあります。
調査会社に調査依頼をする場合は、自身の経済的な面も考慮して決めると良いでしょう。
弁護士などの士業について
離婚は結婚と同様に、法律で定められた行為です。
したがって、離婚するにあたり法律的にさまざまな問題や疑問が出てくることでしょう。
では離婚にかかわる法律問題において、法律のプロフェッショナルである弁護士や行政書士、司法書士などの士業のうち、どれに依頼するのが良いのでしょうか。
離婚問題の相談相手として考えられる弁護士、行政書士、司法書士のそれぞれが、士業として何が出来るのか、ということからみていきましょう。
まず行政書士は行政書士法に基づく国家資格を持ち、権利義務や事実証明に関する書類や官公庁に提出する書類について作成することができます。
行政書士は、離婚協議を行った際の合意を示す文書として離婚協議書の作成や、離婚協議書を基にした公正証書の作成を行えます。
離婚協議書や公正証書は個人でも作成することが可能ですが、特に公正証書については問題がないように万全を期すなら行政書士に依頼するの方が良いでしょう。
一方で行政書士は、代理人として交渉を行うことは許されておらず、法律的見地から助言を行うなど指導することも許されていません。
したがって、行政書士は、離婚裁判や調停、協議で配偶者と交渉することはできず、法律相談をすることもできません。
次に司法書士は、司法書士法に基づく国家資格を持ち、裁判所へ提出する書類や権利義務に関する書類の作成、そして登記業務ができます。
特に、財産分与における登記の変更手続きは司法書士が得意とする分野であるため、共有財産の中に土地関係のものがある人は司法書士に依頼するのも手でしょう。
しかし、司法書士は、原則として法律的見地から助言を行うなど指導することは許されておらず、それが可能な認定司法書士でも140万円を超える紛争案件を取り扱うことができません。
したがって、依頼した司法書士によっては、140万円以下に収めるようとして、依頼者が本当はより多く貰えたはずなのに貰えないといいった状況になる可能性も否定できません。
最後に、弁護士は、弁護士法に基づく国家資格を持ち、法律的見地から助言を行うなどの指導や代理人としての交渉、権利義務や事実証明に関する書類の作成など、基本的に法律関係の問題に対応することができます。
しかし、離婚問題など民事訴訟を得意としていない弁護士もいるため、離婚問題を数多く扱っている弁護士に依頼する方が安心でしょう。
士行政書士、司法書士、弁護士へ依頼したときのそれぞれの費用の相場は、依頼内容や依頼する事務所などで異なるため一概にはいえません。
法律関係のプロフェッショナルですが、扱える問題が限られている士業もあるのでということを念頭に、どこに相談するか考えるのが良いでしょう。