自己破産は、保有する全ての財産を債権者へ清算することにより、借金の支払い義務を免責される制度です。
ここでは自己破産を行う際に生じるメリットとデメリットをご紹介します。
目次
自己破産のメリット
自己破産を行う際のメリットとして以下のものがあります。
①免責が認められる
免責とは、支払いの義務を逃れることが裁判所によって認められる制度です。裁判所は破産管財人の調査や破産申告書、免責審尋をもとに、破産者に対し免責を許可するかを検討します。
免責は債務自体が消滅する訳ではないですが、債権者が取り立てをできなくなる点で、結果的にすべての債務がなくなります。
したがって、免責された債務を任意に返済を行うことも可能となります。
なお、一度免責が行われると原則としてその後7年間は再度の免責を得ることができないので注意しましょう。
この免責という制度は自己破産にしか存在しないので、債務整理の中で最終手段と考えてもよいでしょう。
免責されない債権もある?
自己破産において免責が許可されても、すべての債務が免責される訳ではありません。これは破産法253条1項1号から7号に規定されており、これらは「非免責債権」と呼ばれます。
具体的には
・税金等の請求
・養育費や婚姻費の負担義務
・破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
・従業員の請求権および従業員の預り金請求権
などが該当します。免責が認められた場合であっても、上記の債権は返済の義務を免れず、支払いを続ける必要があります。
自己破産のデメリット
自己破産のデメリットとしては以下のものがあります。
①信用登録機関に登録される。
すべての債務整理に当てはまることですが、いわゆる「ブラックリスト」に登録されます。自己破産において登録された破産者は、10年間クレジットカードの作成や新たにお借り入れができなくなります。
なお、この期間を過ぎれば再度借入等を行うことが可能となります。
②財産を手放す必要がある。
自己破産は、破産手続と免責手続が存在します。この破産手続において債務者は債権者のために、保有する財産を清算する必要があります。
その一例として、不動産・自動車・退職金、過払い金等が該当します。
なお、すべての財産が清算される訳ではありません。破産開始手続決定後でも債権者が差し押さえることができず、破産者が自由に管理・処分できる財産を認めています。
これを自由財産と呼びます。
具体的には、99万円までの現金・生活上欠くことのできない家財道具・年金等の差押えが謹慎されている債権等が該当します。
ただ、この制度はあくまでこ裁判所の判断により認められる可能性があるということを忘れてはいけません。
③資格制限が存在する。
自己破産には資格制限が存在します。破産手続開始決定から免責許可決定の期間の間、一定の職業に就くことができません。これらの職業は、弁護士・公認会計士や宅建士等の「士業」や、警備員や保険の外交人などが該当します。
なお、自己破産が終了した際には当然に、これらの就業・資格制限はなくなります。
④免責不許可事由がある。
自己破産において、免責が認められないケースがあります。借金の原因がギャンブルや遊興費であったり、ローンで購入した品物を転売し、現金化を行う行為も免責不許可事由に該当します。更に、破産管財人に協力をしなかったり、債権者を平等に扱わない場合も、破産手続の妨害と見なされ免責が行われません。
⑤官報に掲載される
個人再生と同様に、自己破産においても官報に掲載されます。官報には申立人の氏名・住所が掲載されることになります。
まとめ
以上が自己破産のメリット・デメリットになります。
一見するとデメリットが多くありますが、それらのデメリットは一時的なものです。また、免責を受けられる点は他の債務整理にはありません。
しかし、債務整理を考えた際に最初から自己破産を考えるのはお勧めしません。弁護士側も、自己破産は最終手段であると考えているからです。債務整理でお悩みの際は弁護士に相談し、自分に合った方法を見つけてもらいましょう。